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フラロビのSS置き場。
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フラロビ不足に喘いでいるのに世に新作はなく、仕方がないので自作のSSを読み返してみると話が途中で「続きが読みたいんですけどー?」って切に思う。
続きを読むためには私が書かなきゃならない。
頑張るか…。


++++++++++





君は誰が為に紅を差す





白々と夜が明けて来る。
天気も上々、今日の午後にはドレスローザに到着するだろう。
間もなく決戦の火蓋が切って落とされる、ってのに、フランキーは甚だすっきりとしない気分で新しい一日を迎えた。
寝ずの番だったわけだから睡眠不足でやや不機嫌なのは仕方が無い。
それを差し置いても、すっきりしない原因は、
「ナミの奴…」
が昨夜持ち込んだ『提案』だ。
『トラファルガー・ローに告白するロビンの後押し』とか何とか。


七武海『死の外科医』トラファルガー・ローと、『悪魔の子』ニコ・ロビン。
ふたりが並んで立つ絵を思い描いて、
「け…、何が告白だよ…くだらねェ…」
と、水平線を睨みながら独りごちる。
あれから幾度、くだらないと口にしては、胸中に湧き上がるモヤモヤを誤魔化したことだろう。
「……はあ……」
そして、幾度目の溜め息だろう。


ナミの言葉が真実で、ロビンがトラファルガー・ローに想いを寄せているとして。
もしも、ロビンが本気で告白をしたとしたら、十中八九、成功するに違いない。
トラファルガー・ローがロビンを何とも思っていなくとも   フランキーの読みとしては奴に恋愛感情は皆無    、ルフィの仲間を懐柔出来るチャンスは見逃す筈が無い。
ポーネグリフを解読できる能力にしたって、海賊王を目指す途上で必要とする場面もあるかもしれない。
実際、同じく七武海だったサー・クロコダイルは、ロビンを考古学者として買っていた。
ハナハナの能力も含め、懐に隠し持っていても損はない切り札になる。


そして仮に、もしも。
本気で男を落としにかかったロビンと一度でも寝れば、トラファルガー・ローも彼女の持つ中毒性に気付く。絶対。
そこは、フランキーの実体験に基づく結論だ。
海賊王を目指すとか、七武海であるとか、チートな悪魔の実の能力者であるとか、それがだから何だ、となる。
「…ただの若造じゃねェか…」
海千山千の中年が陥落させられたあの手管に、彼女より経験薄のお兄ちゃんが敵うわけがない。


「いや…それとも…」
ただでさえ悪い目付きが更に悪くなる。
純粋に、
経験薄な若者を、熟練の技で攻略してみたくなった、
の、だとしたら?
「有り得る…か…?」
だとしたら、経験過多の中年に勝ち目が無い。


「…可能性は…なくは、ない… …のか…?」
襟足をぼそぼそと掻く。
「……再会後は、…おれら、ねェもんな……」
2年ぶりに一味合流した直後、海軍に追われ慌ただしく出航し、気の抜けない海中行軍、魚人島での大乱戦、からのパンクハザードでの大乱戦。
で、ドフラミンゴに大喧嘩を売り、今に至る。
色っぽいふたりだけの時間など、持つ間が無い。
はあ、と大きな溜息が漏れた。


2年前の大惨敗を思うと、あの頃の自分達は少し、浮ついていた、とフランキーは思うのだ。
自分もロビンも、諦めていた夢を追いかける自由を手にして、我慢を強いていた心を開放して、広大な未来と海に飛び出して、そこで育まれた恋と思しき感情にいい年して感けた結果が、あの敗北だった。
海軍の最大火力に太刀打ちできる程の実力が一味になかったのだとしても、年長者としての振る舞いは、他の最善のものがあったように思う。
だから、今度は、同じ轍を踏まぬよう、個人的なあれやこれやは二の次にしようと考えた。
のだが。


告白、だとか。
それも、話の成り行き上、同行しているだけの若造に。
「ち。おれがどれだけ自制してると…。アイツも…そうだとばかり、思ってたんだがなァ…」
尽きぬ溜息を吐き出しつつ、窓の外に視線を投げると、女部屋の扉が開き、
「…ロビン…」
が現れた。
「ずい分と早ェな…」
当船一の年寄り  年寄りの朝は早い  すら甲板に姿を見せていないというのに。
「まさか」
フランキーはガラスに額を押し付け、真下を伺う。


何しろ、件のトラファルガー・ローが甲板に寝床を構えているのだ。
人目のない早朝、辺りを見回しても人気のない甲板、告白なんぞをぶっ放すのに最適なシチュエーションではないか。
眠っている体を見せてはいるか、当然、向こうも熟睡なんざしちゃいない。
フランキーが息を止めて見下ろす最中、朝露に濡れた芝生を踏み踏み、ロビンとトラファルガー・ローの距離が縮まっていく。
最も距離が狭まる直前、ロビンの首がトラファルガー・ローに向く。
歩みが鈍くなる。


「お…おいおい。マジで勘弁しろよ」
ガラスを突き割る勢いでコメカミに青筋が浮き上がる。
が、フランキーの祈りが通じたのか、ロビンは元の歩調に戻り、再び前を向いて歩き出した。
はああああ…
フランキーの口からはこれまでで一番長い息が吐き出され、どうしても、ロビンに一言言ってやりたくなった。



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しばらくフラロビ妄想で生きていけそうです。
人型の何かです。

     
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