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フラロビのSS置き場。
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SかMか、と考えて。
フランキーはドS、ロビンは外向けにはSなんだけどその実、M、という仕様になってます>我が家のフラロビ。
他所様宅のMフラSロビも美味しいんですけどね。
でも、自分を徹底的に改造している事実が、被虐対象に自分をも含めてしまう程のサドッ気がある、と私は解釈してしまうわけです。


フランキーは手の届かない背面以外には改造の手を入れてる。
ドレスローザ編では眼球も義眼だと判明したけど、海列車に撥ねられた直後のフランキーは特に目を傷めた描写はない辺り、然程ダメージのないパーツも必要に応じてサイボーグ化していったと思われ。
現在は問題なく機能している部位を、交換することが合理的だと判断すれば躊躇なく捨てることが出来る、その思考方向は相当振り切れてる。


まあ、ドMだから突き抜けた自虐が出来るって解釈も出来るんだけど。
でも、真性のドMだったら、W7に縛り付けられた状況、自分を赦せないでいる状況を、アイスバーグに諭されて泣くことはないと思う。
Mは辛く追いつめられた状況に悦びを感じちゃうもの。
受けに回ることに抵抗があるドSが、深い悔恨に精神的に追い詰められて憔悴するからいいんだよ。


自分に対して冷酷な程なのに、他人事には情に脆くて感情移入過多。
このバランスの取れてない感が愛おしい。


++++++++++





自分を切り刻む毎に、殺したい自分が小さくなっていった。
肉を鉄に挿げ換えただけ、殺したい自分が消えていった。
異形になればなる程、自分を懲らしめた気持ちになれた。
これからも、自分を改造し続けていくのだろう。
愚かな自分の原型を留めぬくらいに。





† † † † † † † † † †





廃船で独り過ごした時の話を、誰かにしたことなぞ無かった。
誰かに話そうという気も無かった。
それを今、傍らの女に話して聞かせたのは賑やかな仲間達に囲まれながらも、腹の中にしこたま溜め込んだドロドロとした孤独の澱を消化できずにいる、同族に対する憐憫の情からなのだと思う。
孤独な自分と、孤独な誰かが並び立てば、互いに孤独も薄れるのではないだろうか。
そっと、ロビンの手が自分のそれに重ねられたので、フランキーは沈んでいた目を上げた。


「廃船にコーラは積んであったのね」
「食いモンは腐り切ってミイラになってたが、飲みモンはまァいけた。酒もあったし…いつのモンかは定かじゃなかったが」
「…そして、今のあなたは…、『自分を赦した自分』が、赦せないのね」
「……まァ、な」
本当はアイスバーグにも、赦されたくなかった。
夢の船を駆り、自由な風として生きる、それを勝手と呼ばないか?
「あなたはそうして……最期まで自分を赦すことはないのでしょうね」
ただ、こじ付けでも、自分を赦さない理由が欲しいだけ。


「そうは言っても赦しちまったんだ、しょうがねェ」
けれど、罪因は決して消えない、罪代を果たした実感も無い。
腸を引き摺り出した時よりも、身体の中が空っぽだ。
「要は、ずっと抱えてたもんが無くなって、いきなり軽くなったってんでバランスが取れねェのよ」
「あなたはきっと、常に堕罪していないと落ち着かないのね」
「罪垢に塗れて生きていく方が相応しいからよ。おれって男は」
「マゾなの?サドなの?どっち?」
「別に被虐趣味はねェが… …改造も広義においては自傷行為か…。でもま、サディストだな。おれは痛い目に遭いてェんじゃなくて、おれを痛い目に遭わせてェわけで」


ロビンの冷たい手がフランキーの腕を撫でた。
「刃を突き立てたのは…どこ?」
正解の場所を細めた視線で指し示したが、言葉は
「さァ…どこら辺、だったっけな…」
と濁した。
「関節…?肘…?肩…?」
「どこでもいいさ。今じゃ手が届く範囲全部が鉄なんだ」
強制的に軽くなってしまった心と比例して、重くなった身体だ。


「ああ、そうだ。ひとつ、提案なんだが」
話題をはぐらかすため、おどけた仕草で人差し指を立てる。
「なあに?」
「そんな訳で、おれは今、罪苦が無くなっちまって納まりが悪くて仕方ねェ。ついては…お前の抱えてるモン、おれが貰うぜ」
ロビンが、丸い目を上げた。
「お前は何にも悪くねェ。おれが赦す。何もかも」
悪夢に魘されていた自分の譫言を、やっぱりフランキーが聞いていたのだと悟ったロビンは、柳眉を顰めた。


「何をしても、私の過去は無くならないわ」
「そうだな。無くならねェ。だからそれの置き場を、お前の心の中から、おれの心の中に移せってんだ。この先、お前が罪の意識に苛まれても、贖罪すべきはフランキーであり、自分じゃねェって考えろ」
「無理よ」
「共有して、自分だけのものじゃねェって思えば、重さは半分にはなるだろ」
「そんなことして何になるの」
「何にもならねェよ。おれの、独り善がりな自己満足さ」


異形の、大きな手がロビンの頭の上に天蓋のように載る。
追い縋る過去からすらも隠してくれる気がする、不思議な手だ。
「お前の本心は赦されてェんだ。だからおれが赦してやる、代わりにお前の罪苦はおれが請け負う」
「あなたは」
「おれは赦されたくなかったんだよ。だのに赦されちまった。だから、お前の身代わりになるくれェで丁度いいんだ」
「ふふ。あなたの手は……造り物なのに、とてもやさしいのね」
ロビンの知る、誰の手よりも、この鉄の手は温かいと思う。


ロビンは確信している。
フランキーは誰が何と言おうと、自分で自分を赦すことはないのだろう、と。
自分を赦さない彼は、この先もきっと、自己改造を止めない。
今は、改造を楽しんでいる節もあるが、そもそも自分への加罰が始まりなのだから。


「へ。やさしくなんかねェよ。どんだけ武器弾薬を仕込んでると…」
フランキーは、そ、と柔らかな両手に頬を挟まれ、言葉は呑み込まれる。
鉄の頬に仄温かい感触に目を細めた刹那、唇が触れた。
柔らかくて、温かい。
このキスは、フランキーの話を受けたロビンなりの、浄罪の証だ。
「…あなたが赦されないでいいと言うのなら、私も赦されないままでいいわ…。もしも、あなたが私を赦すなら…私もあなたを同じだけ、赦すわ…」


ちぇ、
どいつもこいつもおれのことを勝手に赦しやがってよ、
おれは、赦されたくねェってのに、
お前は、赦されてりゃいいのに、


「おれはそう簡単に、自分を赦すこたァねェよ」
「そう?そこまで言うなら…私が罰を与えるわ」
「喜んで請けるぜ…?喘ぐくれェに激しいの、期待してるよ」
フランキーは改造を施した大きな手で、慈しみの女神を抱き寄せる。
そして、更に深く、彼女の独善的な、赦しと言う名の罰を甘受した。



End
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