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フラロビのSS置き場。
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やっぱりリーゼントにチンピラ風体、これは譲れねえ。




『からくりサーカス』の鳴海の四肢は戦闘用マリオネットのもので、これも戦う必要がなくなった後はフウの特製義肢に付け替えて、しろがねと気兼ねなく夫婦生活を営んで欲しいと思ったものだ。
平和な世の中になったら、戦うための手足は愛する人のための手足に、なんてことまで考える辺りが女の萌え脳のなせるワザなのか……。
そんなワケでフランキーも、せめてW7の裏の顔時代くらいのボディに戻して欲しい、アーマードフランキーじゃ正常位がキツイ、ロビンが潰れる。


+++++++++






86. 海の時間(前編)


引いては寄せる波の音。
遠く、低く、太古から変わらずに続く、海の営みの音、命のリズム。
ゆらゆらと、夢の浅瀬に揺蕩えば、いつの間にか花の蜜に包まれて。
その濃厚な香りを肺一杯に吸い込むと、掛かる加重に身体がトプンと沈み込む。


溺れる。


もがくことも、抗うこともしない。
分かっていた、この海に飛び込めば溺れることが。
溺れたかった、この海に。
海底から夥しい数の白い腕が伸びてきて、男の身体をやさしく掴む。


更に沈む。
溺れる、でも不思議と苦しくない。
むしろ、温かく包み込まれるような束縛が、心地いい。


自力ではもう浮かび上がることが出来ないのだとしても、構わない。
海に抱えられてどこまでも堕ちていく。
どこまでも沈んでいく。
心を繋ぎとめる錨さえ下ろしておけば、何の問題もないから。
海に溶けて、精を交えて。


溺れる。
おぼれる…
オボレル…







波の音、
かと思ったらそれは雨の音だった。
近く窓を打つ音、遠く木の葉を叩く音。
雨の音は心地いい、癒される。
目が覚めたものの、いまだ気だるい四肢を投げ出したまま、薄く目を開けると、見慣れない天井。


あれ?
この天井…ロビンの部屋の天井みてェじゃね?
半分寝ている頭がぼんやりと考える。
何しろロビンの部屋はスーパーな自分がデザインしたのだ、見間違える筈もない。
で、問題は。
どうして横になっている自分が見上げた先に、ロビンの寝室の天井が映っているのか、ということ。


もう一度目を閉じて考えて、その答えが左腕の重みにあることに気がついた。
首を横に向ける。
鼻先がぶつかりそうな距離で、自分の胸元に丸くなっている綺麗な寝顔に、フランキーの頬が緩んだ。
甘い体臭、安らかな寝息。
眠りに落ちる前に、期間無期限で自分の彼女になった、フランキーの大事なひと。


フランキーは大きく吐息をした。
ついさっきまで、息を吐き出す行為には苦悩や苦痛が付き纏っていたのに、今のには全くそれらの要素がないことに気付き、思わず苦笑する。
現金なもンだな。
今、フランキーの胸をいっぱいにするのは夢のような幸福感。


「ホント…夢じゃねェのかな…」
縺れた長い黒髪を指で梳く。
自分の太い指がその細くて繊細な髪を引き千切ってしまわないかと、幾分冷や冷やしながらそうっと触れる。
滑らかで少しひんやりした髪が指の間をサラサラと滑り落ちていく。


その感触が、とても好きだとフランキーは思った。
これからは、好きな時に好きなだけ、彼女の髪に触れることが出来るのかと思うと嬉しくなった。
何度も、黒髪を掬っては指の隙間からサラサラと滑らせる。
こんなささやかなことで、馬鹿みたいに嬉しくなれるなんて。


長い睫毛が震え、ゆっくりと瞳が開く。
「悪ィ、ロビン…起こしちまった?」
と声をかけると
「…ううん…」
と朱に染まった顔が上掛けに沈んだ。


「ど、どうかした?」
寝起きとはいえ、いささか悪い反応にフランキーは少し焦る。
おれのことだ、眠りにつく前に何か仕出かしているのかもしれねェ、
と数時間前の記憶を手繰る。
付き合うのはやっぱり止めるわ、と言われてしまうかも、という懸念はしばらく消えそうにもない。
彼女が自分の女、という実感が正直まだ、明らかな手応えとしてないのだから。


「おれ、何かした?つか、し足りなかった?そりゃァ、一回ヤっただけで爆睡したことは謝るけども。何しろ昨日、寝てないからさァ…。その一回も、がっついたのも…謝るよ」
必死な上目遣いでの謝罪に、上掛けから覗く瞳が可笑しそうに細くなった。
「私、何も怒ってないのに」
クスクスとフランキーの身体が揺すられる。


「じゃあ、何で顔隠すの?」
と訊ねると
「寝顔」
「あ?」
「寝顔、見てたんでしょ?恥ずかしいじゃない…」
更に深く、ロビンの顔が布団に埋もれた。
恥ずかしいのは、それだけが原因ではないけれど。
フランキーの胸がきゅんと鳴る。


何て、初な反応。
6つも年上で。
声に出しては言えないけれど彼女には、かつて、悪魔呼ばわりされるくらいに色に狂った男どもを手玉に取った経験があるのに。
これが計算ずくなのだとしても、素なのだとしても。
恐るべし、ロビン。


「こうやって、してやられてくンだろーなァ…おれ…」
「何の話?」
「いんや、こっちの話」
何事かまだ言いかけているロビンの口元を隠す上掛けを剥いで、唇で黙らせる。
軽く啄ばむだけに留めて「おはよ」と言うと、はにかんだ表情の挨拶が帰って来た。


「でも、おはようって言っても…」
部屋の中は朝には程遠い暗さ。
ロビンはベッド脇の時計を見るために身体を捩った。
フランキーの視界に、ロビンの肩甲骨の滑らかな動きと、白い項に穿たれた赤い刻印。
「もう19時…」
雨に濡れたまま縺れ合うようにして、このベッドに倒れ込んだ時はまだ明るかった。
カーテンが閉まっていても透ける光りの中、フランキーに全てを見られることがとても恥ずかしかったくらいに明るかった。


「フランキー、今、何か作るわ。お腹空いたでしょう?」
ロビンが布団から抜け出そうとする。
彼女が故意に背を向け、胸元を隠している意図がフランキーには分かる。
黒髪がシーツを擦り、水が流れるような音を立てた。


「それとも、トムズに戻る?そろそろトムさん達も帰宅して…ッ…あ…」
背後から長く逞しい腕が伸び、絡め取られた。
首筋に熱く濡れた舌を感じ、肌を甘く走る刺激に力が抜ける。
白い肢体はあっさりと男の胸元に舞い戻り、背中が敷布に押し付けられた。


「メシはいいや。おれ、食いたいモンは別にある」
「フランキー…」
「とっくに、今日はダチんとこに泊るってアイスバーグにメール入れてあるから、戻んなくてもいい…」
フランキーの瞳が、ロビンの瞳より下方にずれた。
「今日はずっと、ロビンといる」
フランキーの視線と自分の胸との間に何も遮るものがなくなり、ロビンは頬を染めて顔を横に背けた。


「あ…フランキー…」
「んー?」
「あの、あまり…見ないで…?」
「何で?」
「恥ずかしいわ…」


暗くなった、と言っても真の暗闇というわけでもなく、こんな間近なら暗さになれたフランキーの目にはどうってこともない。
「もう…恥ずかしがること、ねェだろ?」
既にフランキーの愛撫を受けた胸はその頂きに腫れぼったさを残し、適度な硬さを維持したまま、フランキーを見上げている。
自分の身体に残る情痕をフランキーに見られることも勿論恥ずかしいのだけれど、これまで自分と同い年の女のコを数多く抱いてきた彼に、若い肌との比較をされたくない想いがロビンの頭の大半を占めていた。


こうして肌を合わせていてもフランキーのそれに張りを感じる。
逆に言えば、フランキーからしてみれば自分の肌に張りを感じないということ。
これまでにロビンが相手にしてきたのは、自分よりもずっと年上の男達だったから気にしたことすらなかったし、当時の自分は今のフランキーくらいの年齢で若さというものを殊更に考えたこともなかった。
覚悟はしていたこととはいえ、やはり引け目を感じてしまう。


「…余計なこと、考えてンな?さては」
舌先でペロリと乳首を舐められた。
ただそれだけで腰が跳ね、胸が突き上がった。



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