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フラロビのSS置き場。
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美白ロビン入浴後の風呂場は本当にいい匂いがしそう。


同じソープを使っても男風呂がちっともいい匂いにならないのは、男臭い、ってヤツが本当に臭いからだろう。
麦わらの一味の男連中は本当に臭そうだ…特に一週間に一度入浴のヤツら。
鉄人よりも鉄臭いゾロってのは一体何なんだ?刃金よりも常に血に塗れているからの気がする。


++++++++++




21. フローラル・バスタイム


フランキーの中間試験の結果が出た。
限りなくギリギリではあったけれど、フランキーはどの教科でも目標点数を達成した。
ロビンは「家庭教師を付きっきりでした甲斐あったわ」とホッと安堵の言葉を漏らし、トムは「やれば出来るじゃねえか」と豪快に笑い、アイスバーグも「近いうちに大雨でもふりそうだな」とか言いながらも、一定の評価をしてくれたようだった。
晴れて、ロビン宅の設計に一枚噛める権利を獲得したフランキーだったが、皆が驚いたことに、彼はその権利を自ら辞退したのだった。


「ンマー…どうしたお前…やっぱり大嵐でも来ンのか?」
早速、図面引き出すかと思ったのに。
アイスバーグが気味悪そうに、腕に浮き上がった鳥肌を擦る。
「ちぇ。好き勝手言いやがって」
フランキーは口を尖らせた。
「どうしたフランキー?」
アイスバーグと同じく、フランキーがすぐに設計に取り掛かると思っていたトムも怪訝そうに訊ねた。
フランキーはバリバリと頭を掻きながら、理由を告げた。


「いやね、設計図を描き出したとして万が一のことを考えるとさ。まァ、今から勝負に負けることを考えに入れる、っつーのは性にあわねェんだが…」
フランキーはどこか照れもあるのか、視線は下げたまま、
「万が一の場合、それでロビンが申し訳なく思うのは…嫌かもなァ、と」
アイスバーグが、ヒュウ、と口笛を吹いた。
「ちったァ成長したのか」
「うるっせーな」
フランキーはアイスバーグのからかいに、ジロ、と目だけを向けた。


「多分、おれのことだから、一度描き出したら止まンねェと思うんだ。描き上げても、色々思いついて描き足したり、気に入らないとこが見つかったらすぐに手直しがしたくなったり」
本当のところ、フランキーは設計図を描きたい。
何と言っても、ロビンの部屋の設計図なのだから。
「そうやって…アイスバーグの言う通り、図面引く合間に受験勉強、ってことになったらコトだからな」
アイスバーグの予想を的中させるのも癪以外の何物でもない。
「そんなんで受験に失敗したら……その後でおれの設計した部屋で過ごすロビンがいつも、この部屋のせいでフランキーは浪人したんだ…なんてしんみりしててもヤだし」


「私のことは気にしなくても…フランキー…」
「だから、いいよ」
フランキーはロビンに照れ笑いする。
ロビンはフランキーの思慮をありがたく思った。
「分かった」
と、トムがぽんと膝を打つ。


「フランキー、受験が終わったら思う存分やれい。母屋の二階はおまえの担当ってことで手をつけずに置く」
「トムさん!」
フランキーの顔がパッと明るくなった。
「なあに。おまえの受験が終わってからでも充分間に合う。おめェのことだ、やり始めりゃ仕事は早ェだろ?」
「ああ」
「それにロビンが住むとこなくて路頭に迷うわけでもねェ。なァ、何の心配もねえしな」
「ええ」
トムの言葉にロビンはにっこりと同意する。
「おまえは自力で権利を獲得したんだ。どんと胸を張ってりゃいいさ」
「やった!」
すっかり諦めていたフランキーは、思いがけないトムの承諾に小躍りして喜んだ。







翌週末。
中間試験も一件落着、ということでフランキーは久し振りののんびりした休日を過ごしていた。
昼過ぎまでダラダラと寝て、朝昼兼用の食事を取り、トムの工場で手伝いをした。
健全過ぎる午後を満喫し、夕方にフランキーがひとり、先に仕事を上がり居住スペースに戻ってくると、ダイニングで寛いでいたロビンを見つけた。
ロビンはどうやら風呂上がりのようで、キャミソールにホットパンツ、裸足にスリッパと割合に露出度が高い。


「やだ、ごめんなさい、こんな恰好で」
まだ誰も帰ってくる時間じゃないと思っていたから、
と恥ずかしそうに、ロビンは髪を拭いていたタオルを肩にかけ、さりげなく胸元を隠した。
「いやいや、気にしない気にしない。風呂上がりくれェ寛いでてよ」
フランキーは極力にこやかに、ロビンの警戒心を呼び起こさない態度を心がける。
ロビンの解放感あふれるスタイルはフランキーにとって非常にラッキーなのだから。


いつもは平日、休日に関わらず、こんな中途半端な時間に男たちは家にいない。
仕事大好きなトムは週7日が就労日だし、卒業年度でダブルスクールのアイスバーグは基本的にタイトなスケジュールでオンオフを動いている。
受験生フランキーは日曜日に予備校、土曜日は遊ぶ日と大まかに決めていて、大抵、夕食時まで帰って来ない。
だからロビンは皆が戻ってくる前に風呂を済ませておくのが常だったのだが。
「今日は遊びに行かなかったの?」
「今日は何となく予定を入れそびれた。で、トムさんを手伝ってた」
らしい。


フランキーがロビンをじっと見つめてくる。
ロビンは恥ずかしそうにタオルの端で顔を覆う。
「あの…頭はボサボサだし、顔もすっぴんだし、あまり見せられたものじゃないから、そんなに見ないでくれると助かるのだけど」
「すっぴんっつったって…いつもと変わんねェって。化粧なんかするこたァねェよ」
ロビンはフランキーの褒め言葉にくすぐったそうに「そう?」なんて言って、改めて「お帰りなさい」と言った。
フランキーもイイ笑顔で「ただいま」と返す。


「仕事上がり、早かったのね」
「うん。明日、グラマーでおれが当たるって思い出して。テキスト1ページまるっと英訳、なんて絶対ェ時間かかるだろ」
英語、という単語を思い浮かべるだけでゲンナリする。
きっと職業病に違いない。
「自分でやろうと思ったところが偉いわよ」
ロビンが褒めてくれた。


「でも、ロビンがちょいと手伝ってくれたら助かるなー」
フランキーはすかさず甘えた声を出して、ロビンの協力を仰ごうとする。
元々、ロビンの助力は計画のうちだ。
「ちょいと、だけならいいわよ」
フランキーの計画をとっくに見越していたロビンは苦笑しながら言った。


「皆はどうしてるの?」
「トムさんはもう少し仕上げてから戻ってくるって。アイスバーグは卒論の何かを調べたいとか何とかで、図書館に行った。夕飯までには戻る、って伝言」
「皆はいつも通りなのね」
「うん。おれだけがイレギュラー」
「分かったわ。あ、そうそう。私は先にお風呂を頂いたから、フランキー、もう仕事場に降りないなら続けて入ってしまったら?」
ロビンの提案にフランキーは
「ロビンの次?うん、入る入る」
と一も二もなく返事をした。


トム宅での入浴順は、一番風呂・ロビン、二番三番・フランキーまたはアイスバーグ、最後にトムだ。
ロビンは、自分は居候だから最後でいい、と主張したのだが、諸事情により一番と相成った。
トムズの男連中は揃いも揃ってデカい。
その上に大体、汚れて帰って来る。
だから男たちが先に入ってしまうと、湯船のお湯はなくなるし汚くなるし濁るしで、ロビンが入れなくなってしまう。
お世辞にもあまり裕福とは言えないトムズの台所事情としては、水道代も出来るだけ倹約したかったりする。


一家の長であるのに、トムが最後なのは偏に身体がデカすぎるから。
トムが入るとお湯はほぼ空っぽになる。
だから最初にロビンが入り、ロビンがきれいに入った湯船に青年二人が入り、汚し、お湯を抜き、トムは改めてほんの少しの熱い湯を張り直し、入浴する流れが効率的、ということに落ち着いたのだった。


ここで問題になってくるのは、二番手、三番手争いが毎日熾烈だということ。
何故なら、フランキーもアイスバーグもロビンが入った直後の湯に入りたいからだ。
「ロビンの後の風呂はすっげェいい匂いがする」
というのはフランキーとアイスバーグが激しく同意し合う意見だ。
ロビンが使っているのはフランキーたちが使うのと同じボディソープやシャンプーなのに、何故か彼女の後の風呂場は別物の残り香があるのだ、と彼らは言う。


シャンプーの入れ物が『ピンクフローラルの香り』と謳っていれば、
「ロビンの後の風呂だとそれは本当にピンク色の花の香りがするんだ」
とフランキーは主張し、アイスバーグも
「あのネーミングの謳い文句は適当だと思っていたけど正しかったんだな」
と目からウロコを落とす。
男たちが使っても、好い花の香りなどは全くしないのだ。
ましてや野郎の誰かが入浴済みのお湯を有り難がるなど、天地が引っ繰り返ってもあり得ないことだ。


しかし、事、ロビンとなると違う。
もしもロビンが商店街の肉屋のダダンや、結婚相談所のローラみたいなジャンルの女性だったら、フランキー達の反応もまた違ったものになっていただろうけれども。
ロビンはまさに『解語の花』なのだ。
甘い花の香りの残る空間に和み、ロビンの身体を包んでまろんだ湯に浸かる。
それだけで一日の疲れが癒される。


ロビンは「大袈裟ねえ」と笑うけれど、青年達にとっては紛れもない重要な事実であり、三番目の入浴ではその恩恵に預かれないため、順番争いは死活問題なのだ。
明日と言う日を元気に乗り越えるための活力源なんだ!とフランキーは主張する。
今も、ロビンの濡れた髪からは花の香りが色濃く漂っていた。
アイスバーグの髪を匂っても、こんな香りは絶対にしないと断言出来る。


というわけで、今日は争う相手が不在だ。
余裕で幸福を満喫可能。
「フランキー?」
気分良く風呂場に向かうフランキーの背中に
「設計の話だけど…」
とロビンが話しかけた。
「ああ、気にしなくていいよ、別に」
フランキーは振り返って言う。


「ううん。ありがとう、って言いたくて」
ロビンは、フランキーが己のやりたいことよりも、自分への気遣いを優先してくれたことが本当に嬉しかったのだ。
ロビンがとても嬉しそうだったので、フランキーも辞退して良かったな、と思った。
本当は、辞退するかしないかでちょっと悩みはしたのだけれど。
ロビンを優先したことでトムからも許可が下りたし、結果オーライだ。


「だから私からの感謝の気持ちと、目標達成のご褒美として、明日の晩ごはんはフランキーの好きな物、何でも作るわ」
「ホント?」
「何でもご希望に応えられるように頑張るから。明日の朝までにリクエストを教えて」
「了解」
フランキーとロビンは目を見交わせてにっこりと笑った。
「じゃ、ちょっくら入って来るわ」
「ええ」


思わず鼻歌がこぼれてしまう。
フランキーは
「何だか今週のおれってマジでスーパーだなァ」
と、どこか浮かれながら、ダイニングを後にした。



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