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フラロビのSS置き場。
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三十路の色気半端なし。


麦わらの一味の『女好き、フェミニスト』キャラカテゴリにはサンジとブルックがいて、7人中2人もいれば充分なんだけど、アニキって女に鼻息荒くしてるシーンてないな。
じいさん、つか骨のくせにガツガツしているブルックがおかしいんだけど、そのせいでフランキーが枯れているような気がしないでもない。
ロビンin風呂withモモに関してアニキがどう反応したのかは気になるところ…いや、むしろ、バスタオル一枚で廊下を歩いてるロビンちゃんに驚愕した。


++++++++++





23. 花守りの罪悪感


「ンマー。今から出んのかフランキー」
夜の早いトムはとっくに床に就き、鼾が豪快に響いてくる23時。
早朝から動き出すロビンも布団に入り込んでいる頃だろう。
そんな時刻に出かける支度を始めた義弟に、ベッドで寝転んでいたアイスバーグは雑誌から顔を上げて声をかけた。
「ああ、ちょっと、野暮用で…」
フランキーは低いトーンの返事を寄越した。


「女ンとこか?彼女、こんな遅くで大丈夫か?」
の問にすかさず
「彼女じゃねェよ。別の女」
と当たり前のように言うフランキーに、アイスバーグは片眉を上げた。
「彼女はさすがにマズいからな、家族と同居だし。シケこむにしても呼び出すにしても」
「一人暮らしのセフレがいると、こういう時便利だな」
アイスバーグの言葉には多分の皮肉が含まれていたので、フランキーは故意に無視する。
無意識に、フランキーの口から大きな溜息が漏れた。


「おいおい……これから女としこたま楽しんで来ようってヤツが何溜息なんてついてンだよ」
「あ…?ついてた?溜息」
「気付いてねェのかよ」
アイスバーグの指摘に目を丸くしたフランキーだったが、その溜息の原因に心当たりがあったのか、暗い顔でまた溜息をついた。
見れば、フランキーはどこか萎れている。
そういえば、夕飯時も、食後ダイニングでロビンに勉強を教わっていた時も、違和感はあった。
いつもは騒がしいくらいの男が伏せ目がちで、口数も少なかった。


「てめェ…何か」
「なァ…ちょっと訊きてェんだけど…」
アイスバーグの言葉を遮って、フランキーが問いかけてくる。
本人の顔は至って真面目で真剣味を帯びていて、こんな表情を義兄に見せることはまずない。
むしろ初めて見る顔かもしれない。
薄気味悪い、と正直思いながらも珍しいこともあるもんだ、とアイスバーグは身体を起こした。


「何だ?」
「変なこと、なんだけど…」
フランキーが言い淀む。
勇んで口にしてみたものの、実際にアイスバーグに向かい合われると気が挫けたようで、
「……やっぱいい……」
と一気に逃げ腰になった。
「何だ、いいから言え」
おまえはチキンか、と言う目で見られる。
義兄にそう思われるのが一番気に入らないフランキーは、大きく吐息して腹を決めた。


「アイスバーグ……あのよ……ロビンで抜いたこと、ある?」
フランキーの相談だ、おそらく突飛なものだろう、
という読みはあったが、これはまた、アイスバーグの予想の範疇を大きく逸れていた。
しかし、訳の分からない悩みとはいえ、フランキーがやたらと深刻になっているのは事実。
そんな義弟のため、アイスバーグはポーカーフェイスを崩さずにいようと心がけた。
「ねェな。ロビンは比類なきいい女だと思うが…だからこそ高嶺の花すぎて、そういう対象には見づらいかな、おれは」
「そか…そうだよな…」
アイスバーグの返答に、フランキーは見るからに元気がなくなった。


「てめェは抜いたのか」
「……」
フランキーからの返事がない。
「沈黙は肯定の意と受け止めるぞ?」
と言っても返事がなかったので、
『ああ、抜いたんだな』
とアイスバーグは腹の中で思った。
「ここんとこ試験勉強に没頭してたから女日照りが続いてたせいだと思うんだ。だから……。おれ、今までそんな風な目でロビンを見たこと、なかった、し…」
フランキーの言葉は尻切れトンボになる。


「で、ショック受けてんのか」
フランキーは自分の爪先に目を落とし、黙ったまま首を小さく縦に振った。
「何てかこう……物凄く悪いことをしたような……罪悪感がとんでもねェんだ」
夕食の時も、勉強を教わっている時も、全くまともにロビンの目を見ることが出来なかった。
目を合わさないように目線を下げれば胸に行く。
それを避けるために更に下げれば、腿に行く。
ロビンの身体を見るにつけ、身体の奥底にある風呂場での自慰の快感の種火が育ってしまいそうな予兆に襲われた。


ロビンを穢した自慰は恐ろしく気持ちが良かった。
一度覚えた背徳は甘美な味だった。
これまで幾度とした自慰の快感が霞んでしまうくらい、未だ経験したことのないくらいの絶頂感だった。
その刺激を、また身体が欲しがり出す。
でもその背徳行為には恐怖を覚える程の罪悪感が寄り添っている。
結局、首をロビンからグイと背ける結果になった。
ロビンに不信に思われたかもしれないという懸念も生まれた。


「抱く女に苦労しねェ男がするツラでも、今更するような悩みでもねェな」
フランキーは不服そうな目を上げかけたが、止めた。
そんなことは自分でも重々分かっている。
けれど、
「ロビンだけは、違うんだ」
から困っているのだ。


今にも泣きそうな顔をしているフランキーに、アイスバーグは肩でひとつ息をついた。
「おまえは、『高嶺の花』の意味、ちゃんと分かってんのか?」
「あ?」
「普通、『高嶺』ってのァな、遠くから見ているしかない場所なんだよ。だから『高嶺の花』ってのは近くに寄れない、触れられない存在なんだ。それを図々しいお前は、口では『高嶺の花』と言いながら、平気で高嶺に上って行きやがる。高嶺に咲いてる花に触って愛でる。で、馬鹿なお前は近寄り過ぎて綺麗な花を摘みたくなってんだ」
「……」
「分かるか?それが傍から見たおれの、ロビンに対するお前だ」


「じゃあ…おれがロビンに近づかなきゃ丸く治まる話なのか?」
でも、それで彼女をどうやって助ける?
ロビンだって自分に傍にいて欲しいと言ってる。
親しくしないで、どうやって彼女を笑わせることが出来る?
己の悩みを解消するためにロビンから距離を取り、彼女に寂しい想いをさせるのは本末転倒ではないだろうか?
ジレンマに陥るフランキーに、アイスバーグは救いの言葉を投げかける。


「違う、フランキー。そうやって『高嶺の花』の傍に寄るお前が悪いとは、おれは思わない。そうやって、他人に近寄りがたいと思われてきたロビンはきっと寂しかっただろうからな…自分を愛でてくれる手の出現を彼女は喜んでいる」
アイスバーグはいつも思っている。
フランキーと一緒にいるロビンはとても楽しそうだと。
「それに少し前の彼女は……本当に孤高の花だったから…」


ぽつり、とこぼしたアイスバーグの台詞がフランキーの心に引っ掛った。
しかし、続いて
「自分との距離を物ともしない馬鹿の存在を、ロビンは心の底から有り難いと思っている。彼女への道程はかなり骨だ。それに気付きもしねェ馬鹿はそうそういないだろう」
と馬鹿馬鹿連呼されて、カチンときたフランキーはその引っ掛かりを流してしまった。


「ンマー…要するにお前はロビンをマドンナ視しすぎなんだよ、昔から」
「マドンナ?」
「母性溢れる聖女、そして『姉』。お前、ロビンを生身の女だって思ったことがなかったんだろう?だから自分の反応に戸惑ってる」
「……」


確かに。
ロビンが性対象になるとか、そんな風に彼女を見たことは一度もなかった。
小学生の頃はともかくとしても、再会した高校3年の今でも。
『高嶺の花』なのだから、他の男たちも誰もそれに手を伸ばすことはないと思っている。
そんな中、その花に近づける自分は特別なのだと、花を守ることが自分の役目だと思っていた。
なのに、花守りである自分が手折りそうになっている罪の意識。


「ロビンもただの女、そう頭を切り替えろ。ロビンは男とセックスしたことのある、普通の女だよ。おまえが罪悪感なんて覚える必要はどこにもねェ。彼女に実害を与えたわけじゃねェしな」
「他の男と…」
「当たり前ェだろ?男を知らねェで、あんな身体になるもんか」
分かっていたことだったけれど。
あえて考えないようにしていたことだった。
誰かの愛撫で悶えるロビンの姿など、考えたくもなかった。
そんなものを考えて、こうやって股間を硬くする自分を忌まわしく思っていたからに他ならない。


「お前がロビンを特別視したいのも分かる。おまえが抱く女達と、彼女を同列に考えたくない気持ちも分かってる。だけど、お前の理想をロビンに押し付けるのは止めとけ。この先、ロビンに恋人が出来たらどうすんだ?」
フランキーは無言で義兄に背を向け、部屋を出た。
アイスバーグは、今一つしゃんとしないフランキーに
「とっとと女ンとこ行って来い。そんな辛気臭ェ顔してんな」
と発破をかけた。







ロビンは毎朝6時には起き出してトムズの男たちのための朝の支度を始める。
朝食を用意する、弁当が必要なら弁当を作る、それ以外にも洗濯機を回し始めたり、散らかったままのダイニングの片づけをしたり。
『主婦』の朝は慌しいのだ。
今朝も睡眠中の皆を起こさぬように静かに身支度をして、ロビンは部屋を出た。
洗面所で顔を洗って、歯磨きをして、鏡の中のさっぱりした自分と目を見交わす。


ダイニングにやってくると、テーブルの上は昨夜フランキーが勉強をしていたままになっていた。
「仕方ないわね。片付けないと駄目じゃないの」
とロビンは苦笑する。
「そう言えば……昨日の夜、フランキーの元気がなかったけれど…どこか体調の悪いところでもあったのかしら…」
食事中もお代わりの回数が若干少なめだったし、勉強中も甘え成分がかなり薄めだった。
起きてきたら訊いてみよう、とロビンは考えた。


テーブルの片付けに向かおうとしたロビンがふと、窓から階下を見下ろすと、ちょうどトムズの前に車が一台停まるのが見えた。
「こんな早い時間に何かしら?」
女性が好みそうな可愛らしい色の、コロンとした形の小型車だった。
何だか胸騒ぎのしたロビンが様子を見ていると、助手席から見知った水色の頭が下りて来た。
「ふ、フランキー…?」
運転席のドアも開き、そこからは女が現れた。
知らず、ロビンの眉がキュッと寄った。


運転免許を持っている辺り、フランキーと同年代ということはないだろう。
ロビンの見たところ、自分と年格好の差が大してない女に思えた。
「社会人…?OL、ってところかしら…?」
今時だけれど取り立てて特徴のない、フランキーの相手にしては凡庸なタイプ。
胸の中が、チリ、と焦げる。
ロビンはそんな自分の反応に驚いて、慌てて胸を両手で押さえた。


「な…何故…」
ロビンが不可思議な己の胸の内に戸惑う先で、フランキーは車の前を回り込み、相手の女に近づいた。
何やらにこやかに会話を続ける。
その砕けた親密さの中に、男女の一線を乗り越えた仲だから生じる匂いを嗅ぎとれるのは気のせいではないだろう。
正体不明の息苦しさに、ロビンは困惑した。


女がフランキーの髪に手を伸ばし、触れた。
それを見て、ロビンの胸のチリチリは、大きな苛々に変化した。
女の仕草を合図に、フランキーが腰を屈め、女に唇を近づける。
ここは商店街の端、早朝の往来に人影はない。
だから気兼ねなく、ふたりは濃厚な口づけを交わし合った。


女がフランキーに身体を擦り付ける、婀娜っぽさがとても下品で嫌だとロビンは思った。
長いキスの後、ニ三言葉を交わし、女は車に乗り込み、去った。
フランキーは走り去る車に手を振る。
ロビンはそれを暗い瞳で見ていた。



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