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フラロビのSS置き場。
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某ブランドのシンボルカラーになっている色。


コマドリの卵の色は、とても綺麗なスカイ・ブルー。
この色は大切なものを表す色、青は高潔さと真実。
ロビンが産み出す色が空色っていうのがね、こじつけだって分かっていても嬉しい。


++++++++++






44. おさとうのあじ きみとおんなじ


「チョッパー、どこー?」
通りからチムニーの声がした。
「あ、きた!」
チョッパーはロビンの膝からぴょいと飛び降りる。
「ロビン、またくるねー」
フランキーにとっての小さなつむじ風は来た時同様、唐突に去って行った。


ロビンがチョッパーを笑顔で見送って戻ってくると、テーブルに顔をつけてへばっているフランキーを見つけた。
ロビンはチョッパーの食べ跡を片付けると、再びフランキーの隣に腰を下ろした。
「フランキー、どうかしたの?今日は何だかおかしいわよ?」
「……別に」
おかしい、と言われてドキリとする。
動揺を悟られたくなかったので、フランキーは顔を背けた。


「チョッパーに妬いてたんでしょ?『弟』の座取られたような気になって」
「取られてねェし…取られたけど。でも、平気だし」
「チョッパーの何がいいな、って思ったの?」
「いいな、なんて思ってねェし。カケラも」
「そうなの。私の勘違いならもう訊かないわ」
「……膝抱っこと、ほっぺにちゅー」
「……」


「膝抱っこなら…さっき、したじゃない」
ロビンは極力冷静を心がけて言った。
先程の、不慮の体勢を思い出すと顔どころか身体が火照ってしまう。
フランキーと接した部分から伝わってきたのは、『体温』なんて表現では生易しいくらいの『熱』。
ロビンの腿の裏や、腰、彼の顎が載せられた肩など、強く密着した個所は今でも放熱しているような気がして、落ち着かない。


「あれは、おれが、抱っこしたの!ロビンにしてもらったことねェ」
そう言って身体を起こして主張するフランキーの顔はとても赤いけれど、彼が恥ずかしく思っているのは「膝抱っこをした事実」ではなく、「大学生のクセに幼稚園児と争ってしまう自分」なのだろう、とロビンは思う。
確かに、小学生のフランキーを膝抱っこしたことはなかったけれど。


「……でも、さすがに…今はもう、物理的に無理じゃない?」
私、きっと潰れるわね。
本気で想像して真顔で返事をするロビンに、
「このおれを抱っこしてくれ、ってんじゃねェよ!今は無理だってことくれェ分かってる」
釘を差しておく。
まァ、してもらえるんならしてもらいてェけどな!
願望は心の中で叫ぶに留めた。


「そうじゃなくて、おれが小さかった頃も、やってもらったことなかった、なァ…って思って。でも、チョッパーはしてもらってるよなー…って」
ほっぺにちゅーもさ。
フランキーはふてふてと鉛筆を動かす。
書き出されていく文字は大きくて男らしい文字だけれど、意外に几帳面な整った文字。
フランキーが意固地に感じるくらいのヤキモチをどうして焼くのか、ロビンには今一つ理解が出来ない。


以前、アイスバーグと話した折り、フランキーが『理想の母親像』、ひいては『理想の女性像』を追い求めているのだと聞いた。
幻滅しきった実の母親ではなく、ロビンの中に『理想』を見ているのだと。
フランキーの理想に自分が応えてあげられるとは思えない。
けれど、フランキーは自分に『母性』を求めている。
だから、フランキーが求めるのならばとロビンは精一杯、『肉親』としての愛情を注いでいるつもりでいる。
でも、時にこうやって、幼い子の癇癪のようなヤキモチを焼いてみせる。


フランキーには満たされない何かがあるのだろうか?
『姉』としての私の接し方が、何か足りていないのだろうか?
とはいえ、これ以上踏み込み過ぎると、藪から蛇が出る。
突き出した蛇は、私を『姉』でいられなくなるような道を教唆する。


「その二つに関しては、チョッパーにしてフランキーにしてないことかも知れないけれど、フランキーとしかしてないことだって、あるじゃない」
ロビンは眉を顰めて、困ったような声を出す。
「私、チョッパーとは一緒の部屋で手を繋いで寝てないし、一緒にお風呂に入ったこともないわ」
フランキーは黙り込んだ。


別に、ロビンを困らせたいわけじゃない。
大人げないことも分かってる。
ただ、言いたいと思ったことは腹に溜めとけない性質だから。
色々と、いっぱいいっぱいで。
「ごめん」
そう一言、指の上で鉛筆をくるりと回すと、レジュメ作りに戻った。


フランキーの喜怒哀楽の激しさを、ロビンは眩しく思う。
自分にはできない、感情の発露。
しゅん、となったら、本当に萎れ切って。
笑うとなったら、まるで太陽みたいで。


ロビンはゆっくりと身体を傾けると、青菜に塩状態で鉛筆を動かすフランキーの頬に軽くキスをした。
フランキーは、目を丸くして自分の頬っぺたを手で覆う。
「これで機嫌、よくなった?」
覗き込むようにして訊ねるロビンに、フランキーは「…うん」と頷いた。
こつり、とロビンは額をフランキーの額につける。
「フランキーは…綿飴ついてなくても…甘いわよ」
「ろ、ロビン、おれ…」







「ロビーン、お邪魔しまーす。フランキー?いるー?」
再び、古書店入口から元気な声がした。
ロビンが身体を伸ばし振り返ると、今度は引き戸を自分で開閉できるサイズの客が来店する。
オレンジ色の髪の、ピチピチ健康美人。
「何だよ、ナミか…」
フランキーはゲンナリして溜息をついた。
何か今日は、ロビンと距離が縮まったような気がするいい雰囲気になるんだけれど、そうなると分かりやすく邪魔が入る。


「あら、ナミ。こんにちは」
ロビンがにっこりと挨拶をした。
「ふたり並んで何してるの?」
つかつかと店内に歩を進めながらナミが訊いた。
「フランキーがここで勉強をするそうなんだけれど、全然始めないから」
ははーん、とナミはフランキーを挟んでロビンの反対側に立つ。


「怒られてたの?」
「怒られてねェ」
「外からふたり、キスしてたように見えたわよ?」
フランキーは急に訪れた喉の渇きに、半ば氷が溶けかかって味の薄くなったコーラを啜る。
ナミが「あやしいわね」と、ふたりに視線を走らせると、
「キス、してたのよ」
とロビンは余裕で答えた。
ナミは「は?」と訊き返し、フランキーは「ぶふう」とコーラを拭き出した。


「さっきまでチョッパーが来ててね、私がチョッパーにキスしたらヤキモチ焼いたから」
「ロビン!」
何でそんなことナミに言うんだよ!と言いたいが言葉にならない。
「口じゃねェぞ?頬っぺたに、だ!」
フランキーはナミに向け熱弁を振るうが、
「訊いてないわよ」
と流される。


「で、何か用か?」
嫌な予感しかしないフランキーは警戒心を丸出しにする。
「サンジくんとウソップと、ここで会うことになってるの。サンジくんからもうじき到着予定ってメールが来たから」
「それで、何でおれの所在確認すんだよ」
「アンタにお願いがあって」
「やだ」
「うちの大学でやるフェスタのね、労働力としてアンタ達を当て込んでて」
「やだ。おれはお前のお願いなんて聞きたくねェ」


「ナミ。オレンジティーでいい?温かいのと冷たいのどっち?」
カウンターの中からロビンがナミにオーダーを取る。
「私、冷たいのがいいな」
ナミはフランキーとの会話を放置し、さっさとロビンの元に足を向けた。
「ナミ!聞けよ、話!」
「フランキー。勉強しなさい」
どうしてか、ロビンは客がいると厳しくなるのだった。



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しばらくフラロビ妄想で生きていけそうです。
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