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フラロビのSS置き場。
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本音でぶつかっていけると認めてる唯一の存在だといい。


※R-18。


フランキー相手にだけ、本人比だけど感情表現の揺れ幅が大きくて、ロビンの言動がキツイのもまたいい。
不快を隠さない険しい表情で意見したり(「二度と」)、存在否定をしたり(「もう人として接する事は出来なさそう」)、心を開いたとはいえ他のメンバーにはしないことを平気で出来る存在なんだなー、と。
ここで例外になってくるのはやはりサンジとブルックで、エロ目的で近づいてくる連中には違った意味で、ロビンは容赦ないと思う。


++++++++++





59. 誰がコマドリ殺したの?
(5) 羽をもがれたコマドリは、空を恋しく想う


カウチのクッションに渦を巻くように広がる黒い絹糸。
橙色の暗い照明に艶やかに沈むその黒と対照的に、眩しいくらいに光り浮かび上がる白い柔肌。
彼女の身体に落ちた灯りが作り上げる玄妙な陰影が、その造形の素晴らしさを浮き彫りにする。
幽玄な美しさを湛える存在がフランキーの眼前に横たわっていて、眠りに落ちながらもフランキーの指先に悩ましく応えてくれている。


おれは『弟』なんだから。
ロビンは『ねえちゃん』で、しかも酒で寝ちまってンだから。
ダメだ、絶対にダメだ。


止めないといけない。
頭では分かっていても身体が言うことをきかない。
フランキーの身体は理性からの指示を受け入れるどころではなく、荒げていく呼吸を整えるので手一杯だった。
呼吸音でロビンを起こしてしまいそうなくらいに、激しい興奮と葛藤に見舞われていた。
妄想の中で彼女にしてきたことを、生身の彼女に出来る機会の到来。
でもそれはやはり、妄想の中でだから許されることで、現実にしてしまったら、いけないこと。


分かっている、理解している、痛いほど、苦しいほど。
でも、フランキーは徐々に身体を寄せて行く。
誘蛾灯に向かう、虫のように。
光の先に待つのは死だと、虫と違って知っているのに。
溺れて死ぬか、燃えて死ぬか、蟲惑の毒に侵されて死ぬか。
どれも今の自分の死に様にはおかしくない。
破滅しても構わないと、男に愚かな考えを抱かせる程に、ロビンは綺麗だと思う。


ああ、そういえば。
ロビンは花だった。
虫が花に誘われるのは、当たり前だな。
店で『害虫駆除』なんてやってても、おれ自身も虫だったなんてよ。
そうそう、おれはロビンにとっての、ただ一匹の益虫なんだった。
だから


「おれが…守るから…許してくれるか、ロビン…」
つつ、と指先を喉元から胸元へ落としていく。
触れる指の数を増やし、簡単に折れてしまいそうな細い鎖骨を手の平で包む。
ひくっ、とロビンの身体が震え、無意識の指がカウチの織目を掻いた。


フランキーは深く目を瞑り、大きく太く、息を吐き出した。
男根がギチギチと音を立てて、今にも張り裂けてしまいそうなくらいに怒張している。
もうダメだ、これ以上。
今にも切れてしまいそうな理性の糸へ、最後通告。
この手が乳房を包むまでに目を覚まさなかったら、抱く、犯すことになっても。
後のことは、後で、考える。


フランキーが熱っぽい瞳を開けると、ロビンもまた薄らと瞳を開けた。
ロビンの視点は定まらず、まだ夢の中を彷徨っているようで。
フランキーを見ているようで、見ていない。
赤い唇が誘うように薄く開いた。
「ロビ、ン…」
ふらふらと、フランキーは吸い寄せられていく。


やおら、二本の白い腕が虚空に持ち上げられた。
そして、優雅なそれはまるで何かの儀式を行うかのように、フランキーの太い首に巻き付くと、自分へと、すう、と引いた。
「抱いて…お願い…」
熱を帯びた溜息とともに成された哀願。
ロビンの唇がフランキーの首筋に寄せられ、アダムの林檎を齧る。
温かく濡れた舌はトリガーとなって、フランキーの理性を断ち切った。







ロビンはゆらゆらと夢の浅い海を揺蕩う。
夢と現の境目が曖昧で。
私は今どこで、夢を見ているのだろう?


横たわる意識の片隅で、誰かが自分に触れているのだけは分かる。
硬い指先に愛撫される。
何故か、ここが自分の家だという確信があった。
きっとこれはクロコダイル。
躊躇いがちに触れられているだけなのに、とても心地いい。
ただそれだけで、身体の内側が融け出してしまう。


でも、と考える。
いえ、そうだ、私はもうあの場所にはいない。
なのに、どうしてまたクロコダイルが私の傍にいるの?
どうしてまた、私を抱こうとするの?
利用して、捨てたくせに。


こんなことをしても、同じことを、繰り返すだけなのに。
分かっている。
分かり切っている。
でも、それでも、また独りになるくらいなら…
私を必要と、してくれるなら…







握り潰してしまいそうなくらいの想いの丈をこめて、ロビンの乳房を揉み上げる。
フランキーの大きな手に負けじと納まる程のそれは想像以上に柔らかく、ただ柔らかいだけでなく弾力をもって、フランキーの手の平を押し返す。
布地の上から乳首を親指の腹で軽く擦っただけで、ロビンの背中が弓のように反り返った。
文字にならない甘い声が上がり、それによって引き起こされた下半身を揺さぶる刺激に、フランキーはロビンの首筋にキスを降らせながら、思わず歯を食い縛った。


「…欲しいの、あなたが…」
ロビンが繰り返し懇願する。
ロビンが自分の中の『男』を認め、『女』として欲しがっている。
ロビンが自分を『弟』ではなく、『男』として受け入れてくれている。
フランキーは、感動で身が震える程に嬉しかった。
ガチガチと、歯の根が合わなくなるくらいに。


けれど。
ロビンがフランキーの耳元に囁いた名前に、フランキーは凍りついた。
氷水を被ったように、全身に燃え盛っていた熱が急速に冷えていく。
荒げていた呼吸も止まり、女の喘ぎも、布擦れの音も、カウチの軋みも聞こえなくなった。
途端、深夜の家の静けさが耳を打つ。
そんな中、身体の中で心音だけがばくばくと響いていて。


フランキーが身を引くと、ロビンの腕は糸の切れた懸糸傀儡のように、ぱたり、と落ちた。
呆然とするフランキーの視線の下で、ロビンはまた深い眠りに落ちている。
「抱いて」という哀願も、「欲しい」と懇願も。
フランキーに向けてではなく。
愛撫に応えた媚態も、フランキーではない、誰かのためで。
フランキーは歯が砕けそうに強く、ギリギリと歯噛みをした。


誰だよ?
クロコダイルって!


「ロビンが見てたのは誰なんだよ…おれじゃ、ねェのか…」
不覚にも、目頭が熱くなる。
「……」
悪態をつく気力も湧かない。
ふらり、とよろめいて手をつくと、指先に何かが当たった。
力無くそれを見ると、フランス語のテキスト。
ああ、そうだ。
宿題を教えてもらいに来たんだった。
フランキーはテキストをぐしゃりと引っ掴むと、一瞥もせず、暗い母屋へと消えた。







また夢を見た。
何だか視野に明るい空色が溶けていて。
最初は、クロコダイルに青空の下抱かれているのかと思った。
でも彼と青空はそぐわないにも程がある。
今、自分に触れているのはてっきりクロコダイルだと思い込んでいたけれど。


それにあの男は、こんな風に躊躇いがちに触れてきたりなんかしない。
こんなに壊れ物を扱うみたいに大切に、触れてきたことなんて一度もない。
この手からは、やさしくて、私を大事に思ってくれている気持ちが泣きたいくらいに伝わってくる。
そして温かい。
クロコダイルには『温度』を感じたことがなかった。


クロコダイル?
念のため、名前を呼んでみた。
でも返事がない。
じゃあ、誰なの?
私に、こんなに、切ない熱をくれる人は。
ああ、離れないで。
もっと、触れて、私に…


溶ける空色。
誰かが泣いている…?







「フランキー!」
跳ね起きて、酷い頭痛に襲われて、ロビンは呻き声を上げた。
額に手を当てて、周りを見回して、
「やだ…いつの間にか、眠り込んでたのね…」
と顰め顔で浅く息をついた。


送られてきた雑誌にチラリと目をやって、深く首を折る。
あの記事を読んだせいで深酒をして、記憶を飛ばして、二日酔いの頭痛に悩まされた。
しかも、夢で過去を遡ってしまった。
「嫌な夢…思い出したくもないのに…」
唇を噛む。


心の奥底に仕舞い込んでも、過去は消せない。
どんなに取り繕っても、本性は誤魔化せない。
この忌まわしい身体は、男達に弄ばれる夢を見ただけで、淫らな蜜を溢れさせる。
「もう、ずい分長いこと、男に抱かれてないものね…」
ロビンは自分を嘲った。


愚かな私。
愛もなく、玩具にされて、奴隷にされて。
犯されることに慣れて、犯されることに快楽を覚えさせられて。
ビジネスの関係、利用しているのはお互い様だと、現実から目を逸らし信じ込もうとしていた。
それがイーブンじゃないのだと、今では分かるでしょう?
なのにまだ、そんな男達に抱かれたことを思い出して、身体を疼かせているの?


本当に嫌な夢だった。
「でも…」
目が覚める寸前に、何かとても暖かな夢を見ていた気がする。
嬉しくて、切なくて、甘酸っぱい苦しさが胸に込み上げるような、そんな夢。
ロビンは自分の唇に指で触れ、その手で自分の肩口と胸を撫でてみた。
自分の物ではない体温が、まだそこに残っているような気がする。
それと、やけに生々しく腕に残る、男の肉体を抱いたような重たい感触。


「フランキー…?」
そう、空色の夢だった。
フランキーが、泣いていたような気がして、跳ね起きたのだった。
ふと、空のワイングラスの隣に、なみなみと水の注がれたコップの存在に気がついた。
自分で用意した覚えがなければ、口をつけた形跡もない。


「もしかして、フランキー…」
来てたの…?
来ていたのだとしたら、相当、見苦しい姿を晒していたことになる。
ロビンはガンガンとした吐き気を伴う痛みの他に、羞恥心で頭を抱えた。
「何か、変なことしてなければいいけれど…」
ワインを半分程飲んだあたりから、記憶がない。


もう一度、雑誌に目を遣る。
自分が置いたままになっているそれに、フランキーが読んだ心配はないと思う。
でも、既に売り出された記事が、フランキーの目に入らない保証はない。


どこかでフランキーが記事を読んだら。
さっき見た夢のような自分の過去をフランキーが知ったら。
今の穏やかな生活はどうなってしまうのだろう?
フランキーへの恋情だけを、誰にも知られぬように押し隠すことだけを心懸かりにしていればいい、この日常はどこへ行ってしまうのだろう?


「私…」
ロビンは抱えた膝に顔を押しつけた。
カタカタと身体が小刻みに震え出す。
この震えは冬の夜気のせいだけではないと、ロビンは知っている。
懸念事が、多過ぎて。
心が脆く崩れてしまいそうだった。



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