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フラロビのSS置き場。
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36歳なのに行動が一番小学生男子ってどうなのよ?


新世界編のフランキーの身体があんなになってしまったので『秘め事』とか『逢瀬』とかがまるで想像できなくなってしまった。
あの図体はとにかく場所取るし、歩くだけでガションガション言うわ、座るだけでギシイイ鳴るわ、夜に激しいスポーツをした日には騒音でクルーが全員目を覚ますのではなかろうか?
男子の夢とロマンが詰まったあのボディに刮目すると、濡れ場との不似合いっていう結果しか引っ張り出せない現実に絶望する。orz


++++++++++






64. 誰がコマドリ殺したの?
(10) 雄牛は暁鐘を鳴らす -1-


「ロビ…」
「なあに。フランキー…」
「あのな。例えばさ…蟻地獄に蟻が落ちて、ウスバカゲロウの幼虫の餌食になっちまうとするじゃん」
「うん」
「でもさ、蟻地獄にはまるのは、蟻が悪いのか?」
「え?」
「蟻はさ…今まで通り、普通に、餌を探して砂の上を歩いてただけだろ?いつも通りの道が、いつの間にか流砂に繋がってて…逃げ出そうとしても、どうしようもなくて」
「……」
「蟻は悪くないだろ?底に潜む地獄に捕まったとしても。自力で這い上がれないのが、蟻地獄なんだから」


フランキーは重ねて「ごめんな」と言った。
ロビンは蟻で、ロビンの環境は蟻地獄で、その傍らに自分がいれば地獄から掬い上げることが出来たかもしれなかったのにと、ロビンの肩を涙で温めた。
頭のいいロビンに、こんな例えしか出来なくてごめん、と謝った。
だからロビンは何も悪くないのだと、伝えたかった。
蟻の迂闊さを責めるヤツはいるかもしれない、でも自分はそれも含めてロビンは悪くないと、伝えたかった。


「これからは、ロビンの進む先に蟻地獄があるのなら、おれが両手で囲って、落ちねェようにしてやるから。おれが、ロビンの盾になってやるから」
自分で話してて切なくなってしまったフランキーは、アウアウと泣き声をあげた。
フランキーがロビンの頭を撫でてくれる。
大きくて温かな手の平がとても心地よくて、でも「私の方があなたの頭を撫でてあげたいくらいだわ」とロビンは思って、やっと本当に笑うことが出来た。


「フランキー」
「あ、アウ…何だ、ロビン」
「このままで聞いていてね」


ロビンはフランキーに全て話した。
事件の全容も、知っていることを洗いざらい全て。
週刊誌にも書かれなかったことも。
報道で一切、触れられなかったことも。
アイスバーグにも話さなかったことも。
クロコダイルとの関係も、数多の男達との関係も。
一生誰にも語らないと決めていた、金と引き替えにどんな性的なことを強いられたのかも、赤裸々に。


フランキーは話の出だし部分を聞いただけで、思わず涙が引っ込む程に驚いて、
「それ以上言わなくていい。そんなことは他人に言うもんじゃねェ」
と制したけれど、ロビンは
「フランキーにしか話すつもりはないわ。フランキーだけには、全部知っておいて欲しいから」
と、時折言葉を詰まらせながらも何もかも吐露した。
妙齢の女性が口にするにはあんまりな内容だった。
フランキーは黙って真剣に聞き、涙は静かに流れた。


自分の打算も、自分の寂しさも、自分の弱さも、ロビンは語った。
フランキーが自分を悪くないと言ってくれても、自分自身を、そんな風には思えないこと。
心の中に暗いモチベーションを生み、破滅の道へと自分を駆り立てた叔母とのやりとり、案の定、事件発覚後はぱたりと連絡が途絶えたことも。
そんな中、ロビンの心の支えは、いつも『弟』だったこと。
フランキーをずっと懐かしく思っていたこと。
ロビンが長い話を終えても、フランキーの目からはポタポタと涙がこぼれていた。







「私の長い話、一生懸命聞いてくれてありがとう」
心にずっと抱えていた重石がとれて、蟠りが溶けて、痞えがなくなって、ロビンはこれまでになく晴々とした顔をしていた。
フランキーに知れるまで、もしかしたら一生無くならないと諦めていたそれが無くなって、本当にロビンは清々しい思いだった。
自分の過去を誰に知られても、誰に何て言われても、誰に軽蔑されても、ロビンはどうということもなかった。
ただ、フランキーにだけは嫌われたくないと、それだけが憂慮の種だった。


でも、もう、フランキーに全部吐き出してしまった。
フランキーに対して、過去は秘密ではなくなった。
フランキーは自分の醜い過去や過ちを知っても、嫌いにならないと言ってくれた。
だからこれからは、フランキーを愛している、という新たな秘密だけを隠せばいい。


「最後にね、クザンの話をさせて」
ロビンは自分の服の袖口を伸ばすと、涙で濡れたフランキーの顔をゆっくりと拭ってあげた。
「クザン?氷屋の?」
「そう。氷屋の」
フランキーは何でここであんなヤツの名前なんかと思ったが、ロビンと因縁があるに違いないとの勘が正しかったと裏付けもされた。


「彼はね、私の担当検事だったの。物凄いキレ者で…若手の出世頭」
「そんなヤツが何でこんなとこでバイトしてんだよ」
としか言いようがない。
「私を見張っているのよ。私が本当に無実なのかどうか、見定めているの」
「アイツ、本業はどうしてンだよ?いっつもいるぞ?商店街に」
「まあ…有能だけれどすぐに出奔するので有名な検事だったから…個人的な好き勝手には違いないわ。組織の反対を押してここに来てるのでしょう」
この商店街の居心地が良くなって帰るのが面倒になったんだと思う、とロビンは肩を竦めた。


「でもね、実際、彼のおかげで予定よりはるかに早く、私の拘留が解けたの」
ロビンはフランキーの顎に垂れた涙を拭った。
「彼は、親友の頼みをきいたのだと言っていた。それが誰かは……その人に迷惑が及ぶからって教えてくれなかったけれど……まあ、当然よね」
右袖がぐっしょりになってしまったので、今度は左袖を伸ばす。


「その人のために仕事に私情を挟んでしまい、私の白黒がクザンの中で出る前に不起訴となってしまった。私が本当に事件に関与していないのか、実は黒幕ではないのか。私が悪魔かどうか、それを見届けるのがけじめなのだ、と…」
「そんなんでここに居ついてたら、首になるぞ?それでいいのか?」
「首になったらなったでも構わないんでしょ。相当優秀みたいだから、仕事する場所、もしかしたら職種自体にも拘りはないのよ。『だらけきった正義』がモットーだ、って豪語してたわ」
ああ、まんまだな、とフランキーは思った。


「私がここの土地を買った資金の出所も調べられたわ。横領金を使ったのか、って」
「そうじゃないんだろ?」
むすっとした顔でフランキーは言った。
「横領金じゃないわ……愛人手当、よ。クロコダイルからの」
予想通り、フランキーの口元が引き攣った。
ロビンの袖がフランキーの右耳を拭き、その裏につけられた赤い印が疼く。
フランキーは、ロビンの腰を抱く手に力が籠りそうになるのを懸命に堪えた。


「肉体関係を持つ前から生活費と称して高額が振り込まれていたわ……でも私は遊ぶわけでもないし、買い物にも興味はなかったし。勉強漬けで使うアテがなかったから、気が付いたら膨大な額になっていたわ。そのお金を使ったの」
フランキーの瞳が曇る。
「後はクロコダイルから受けた、考古学の仕事の方の報酬もあるけれど……フランキー、この家に上がるの、嫌になった?」
本当は。
物凄いジェラシーが胸の中に逆巻いていたけれど、フランキーは首を横に振った。


「これで全部。フランキーだけよ?私の何もかもを知っているのは」
もう、怒らない?
ロビンに申し訳なさそうに囁かれては、フランキーは頷くことしか出来ない。
「私はもう、誰にも言わない。私は頑張って過去を忘れるだけ。だから…私が過去の過ちを繰り返しそうになったら…止めてね、フランキー」
フランキーは、大きく頷いた。


「あの…怒らないで、もう一度、聞かせて…?本当に……嫌いにならな、い……?」
ロビンが悲痛の極みの瞳で見上げてくる。
フランキーが
「ああ、絶対ェ嫌いにならねェ。心配すんな」
と笑うと、ロビンは本当に嬉しそうな頬笑みを浮かべた。
正直、そんなにも自分が信用出来ないのか、と思わないでもない。
けれどそれくらい、ロビンの受けた傷は深く、簡単に癒えるものではないのだろう。
人間不信、男性恐怖症に陥っても仕方がない経験をしたのだから。



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しばらくフラロビ妄想で生きていけそうです。
人型の何かです。

     
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