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フラロビのSS置き場。
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あの海パン、大工道具をしまっても膨らまない不思議海パンだもんなあ。



フランキーが変態だと言われる所以はどこでも海パンいっちょで歩き回るからで、海パンでいることの何が悪いのかと言えば、薄い布地越しにご立派様の造形が丸分かりになって卑猥だからで、それを見たくない人にまで見せつける状態でい続けると、お巡りさんに「ちょっと署まで」と呼ばれてしまう。
原作やアニメだと海パンの『起伏』が全く分からず、周り(特に同船しているレディふたり)がそれに慣れ切っているため、フランキーの何が変態で問題なのか、読者も視聴者も忘れているのではないだろうか?
海パン姿のフランキーは自分の竿や玉のカタチ、ポジションを常に他人に見せつけ、それが出来るのも自分のブツに自信があるからに相違なく、やはり規格外のサイズなのだと結論付けずにはいられない。


++++++++++






85. Reset -ゆらぎの雨 (4)-


「ロビンも好きなヤツがいンだよな」
背中を向けたまま、フランキーが突然言った。
「前に言ってたじゃないの。好きなひと、いるような、いないような、って…。いるんだろ?」
「…ええ」


ロビンは胸を掻いて、水色の後頭部をじっと見つめる。
「ロビンも、そいつと上手く行くといいな。そうすれば…」
その場凌ぎの言葉なんか、続かない。
フランキーは苦々しく唇を噛んだ。


「…んで…」
「え?」
「おれ…小学生、だったんだろ…」
「何のこと?フランキー」







どうして、ロビン出会った時、小学生だったんだろう?
どうして、ロビンと同い年で出会えなかったんだろう?


同い年だったらきっと恥ずかしくて、あんな風に厚かましく纏わりつくどころか、話をすることさえ出来なかったかもしれねェけど。
そうしたら、ロビンはそれほど自分を必要には思ってくれなかったかもしれねェけど。
高校生のおれが絶対ェにロビンに惚れただろうことは、断言出来る。


それなりに、夏休みの間に仲良くなろうときっと頑張って、もう少し違った形で今を迎えていたと思う。
そうしたら、同い年なら、言えるのに。
もっと胸を張って言えるのに。
告白どころか、プロポーズだってしてやるよ。
だけど6つも年下じゃ、そもそも男として見てもらえねェ。


もう…嫌だ、こんなの!
ちくしょ…どうすンだ、おれ…明日から…







「じゃ、そういうわけで…」
フランキーは濡れた足元に目を据えたまま、扉の取っ手に手をかける。
「ロビンと仲直り、出来てよかった…」
失恋の痛みを胸に抱いて何も考えられず、ただ途方に暮れたまま、フランキーは玄関の扉を開けた。


外は先と変わらずに、雨の檻。
数多の雨に打たれる銀木犀の葉がざわめくような音を立てている。
「雨…止まねェなァ…」
フランキーは泣きたいような瞳を空に向けた。
強い雨の中、無頓着に歩き出した。


「フランキー、傘は…」
ロビンが慌てて声をかける。
「いいよ、隣だし、走っていけば…」
「せっかくシャワー浴びたのに、また濡れてしまうわ」
ロビンはビニル傘を開くとフランキーを追いかけて、差しかけた。


やさしい手がフランキーに伸びる。
一つの傘の中に、愛しいひとと収まる。
綺麗な顔が見上げてくる。


もう、放っといてくれよ…


大好きな甘い花の香りが鼻腔をくすぐって。
不安定な心が、更にグラグラと揺さぶられて。


近寄ンじゃねェよ…
そうでないと、おれ…


「これ、使って。返すのはいつでも…」
フランキーの手は傘の柄ではなく、ロビンの手を握った。
半透明の傘が緑の庭草に落ち、内側でバタバタと雨粒を受ける。
フランキーは強く押し付けるだけのキスを一度、ロビンにした。
そして、その細い身体を両手で掻き抱いた。
大きな背中でロビンに覆い被さるように、ロビンが濡れないように、抱き締める。
「ロビン」
ロビンの髪に額を擦り、フランキーは涙を堪え、歯を食い縛りながら訴える。


「違う、違うんだ。おれ……本気でロビンに告白したんだ。
冗談だなんて嘘だ…嘘だ……も一度言うよ。
おれ…本当にロビンが…好きなんだ…付き合って欲しい。
おれには必要なんだ、ロビンが……」


言葉の一字一句が身に沁みていく。
フランキーの唇から吐き出された語句が、ロビンの肌に穿たれて。
心も身体も、熱を持ち始める。


「ロビン…おれじゃ駄目か…?
やっぱり、『弟』にしか見えねェか?
おれ、頑張って一人前になるから。
出来るだけ早く、ロビンに釣り合う男になるから。
だから…ちょっとだけ待っててくんねェかなァ…」


フランキーの目から、我慢していた涙がぽろりとこぼれた。
堰を切ったように、涙と一緒にロビンへの想いが次から次へと口をつく。
もう、冗談だと誤魔化すことも、一切の申し開きも出来ない。
「駄目、かなァ…おれじゃ…」


フランキーの胸に狂ったように逆巻くのは恐怖。
ロビンを失ってしまったら、フランキーの世界が止まる。
駄目だと分かっていても二度と手放したくなくて、フランキーはロビンを抱く腕に力をこめた。
ロビンの背骨がミシ…、と悲鳴を上げる。


「く、苦しいわ。フランキー…」
さすがにロビンも音を上げた。
抱き締めた本人も相手の骨が鳴ったのに気付いていたため、渋々嫌々、ほんの少しだけ腕を緩める。
余裕が出来た腕の中で、ロビンは顔をフランキーへと向けた。
「うう…」
ロビンの顔に雫がポタポタと落ちてくる。
それが雨なのか、涙なのか。


「こっち来て」
ロビンはフランキーの腕を引いて、雨に濡れないで済む玄関の廂の下に入る。
「また泣いてるの…?ホント、泣き虫ね…フランキー」
パタパタとこぼれおちる空色の涙。
ロビンが親指の腹でフランキーの目元を拭ってあげた。


「ロビ、ン…おれ…」
「フランキー…また、冗談、とか言わない?」
見下ろすと、ロビンの眉が困惑したように寄せられていた。
「私…また冗談、って言われたら…どう応えていいのか」
フランキーは鼻をずずっと啜って、
「冗談なんかじゃ…ねェよ」
と答えた。


「じゃあ…何でさっき…冗談だなんて、言ったの…?」
「だって…ロビンの反応がなかったから。冗談って言えば、誤魔化せるから…」
「……反応しなかったのではなくて、反応、出来なかったの。突然で…」
ぐすん、とフランキーの鼻が鳴る。
ロビンの手が、乾く間のないフランキーの水色の髪をやさしく梳った。
「…嘘じゃ、ねェ…好きなんだ…ロビン」


フランキーは自分に絶望した。
幾ら告白した経験がなかったとはいえ、これは酷い。
これまで山程、女の子に告白されたけれど、こんなに見っとも無い有様になったコなんて一人もいない。
もっとスマートに告白出来なかったものか、ロビンだって本当は腹を抱えて笑いたいに違いない。


カッコ悪ィ…
この期に及んで、ガキみてェに頭撫でられて。
時間、どこまで巻き戻せばいいんだろ?
リセットしてェ。
何もかも。


フランキーが大きな溜息をついた時、ロビンが
「フランキー…?」
と名前を呼んだ。
「あ?」
と力無く答えると、
「……他の女のコ、絶対に見ない?」
と問われた。


ロビンの瞳が、空色の瞳の奥の本心を真剣に覗いている。
フランキーは手の甲で、ぐい、と涙を拭いた。


「見ねェよ」
「私、先に年を」
「年齢のこたァ気にするな。ついでに過去のことも気にするな」
「……」
「何にも、気にすんな」
「私を、独りにしない…?」
「しねェ!おれ、傍にいるよ、ずっと…ロビンの傍にいる…」


ロビンの手の平がゆっくりと、フランキーの髪から頬に滑っていく。
「他には…?他に、おれは何を約束すれば、ロビンに…その…」
「もう、いいわ…充分…」
ロビンの指がフランキーの唇をなぞった。


こんな私を好きだって言ってくれるの?
こんな私を必要だと言ってくれるの?
私はあなたの傍に、存在していいの?
訊きたいことは幾らでもあったけれど、ロビンはただ一言、
「私もずっと愛していたわ。フランキーのこと」
と囁いた。







降る雨はさっきも今も変わらないのに。
何故かもう、雨音が物悲しくなんて聞こえない。
緑や花に当たって、祝福の大合唱。







「ああ、もう、泣かないで?」
「チクショー、泣いてねェよ、バカ…!」







紫陽花の葉が楽しげに歌う。
ふうわりと舌が絡まる。
初めてのやさしいキスは、しょっぱい味がした。



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