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フラロビのSS置き場。
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345SS内での登場人物の身長はリアル地球人のサイズです。


アニキはW7で酒池肉林だったと推察するけれど、「自分は幸せになってはいけない」という枷をつけて生きていたと思うので、こちらも恋愛ってものにはあまり縁がなかった気がする。
シチュ自体がなかったロビンとは違って、のめり込みそうになる手前で相手と距離を取る、みたいなのの繰り返しで草臥れていると尚良い。
リミッターを外して惚れた女と愛し合うのは初体験な34歳だと素敵。


++++++++++





11. 一輪咲いても花は花


「前、サウロと別れたっきり、って言ってたけど。今は…?」
ロビンを意識し始めてからの懸案だったけれどなかなか訊ねるチャンスがなかった事項のひとつを、フランキー的には非常にさりげなく切り出した。
あくまでロビンを気にかけるのが第一みたいなスタンスで、別にヤキモチとかそーゆーんじゃないんだからね、を心がけようとしていたのに。


「ああ、彼ね」
なんてロビンが言うから、
かァれェ?何、その親しげな呼び方ァ!
と、早速コメカミの血管が切れそうになった。
フランキーの心の叫びを余所に、ロビンは唇に指を当て、質問の答えをまとめている。
「サウロはね…私が考古学の研究で名前が有名になり始めた時、大学に連絡くれたの。そうね、10年ぶりくらいだったかしら。本当に久し振りで。本当に嬉しくて。それ以来、やり取りをたまにしてるわ」


「はァ?!」
てっきり縁が切れっぱなしだとばかり思っていた男が、ホットラインを復活させていた事実。
しかも、自分がロビンと再会する前からヨリを戻していたことも、寝耳に水。
「はあって……何?」
そんなに意外なことかしら?とロビンが不可思議そうな顔をするので、フランキーは急いで
「いや、べ、別に」
と言い繕った。


「向こうで私が大変だったときも、こまめに連絡をくれて、励ましてくれて。友達っていいな、って心の底から思ったわ」
ロビンが遠い目をしている。
「そ、そ、それは!」
フランキーは泡を吹かんばかりに自己主張した。
「そン時!おれだってロビンの状況を知ってたら、励ましてッ…」
「分かってるったら」
ロビンはフランキーの肩をそっと押さえる。
「知らなかったのだもの、仕方ないわよ。フランキーから連絡なかったー、なんて怒ってないから大丈夫。それに私たちは『連絡を取り合わない』約束をしてたのだもの」


自分が安穏と過ごしていた裏で、ロビンが四面楚歌に陥っていたのだと、全てが終わってから知らされた時、フランキーは後悔した。
トムやアイスバーグがフランキーに故意に知らせなかったとはいえ、ニュースや新聞などに無縁な生活を送っている自分は、それに気付きもしなかった。
ロビンと別れる寂しさを誤魔化すために結んだ約束、あんなもの何でしたんだと、子どもの頃の自分を罵倒した。
それさえなければ、意地を張らずに連絡さえ取り合っていたら、ロビンの苦難に何かしらの手助けが出来たのではないのかと。
でもきっと、連絡を取り合っていても、ロビンは自分に心配をかけまいと黙っていただろうことも、フランキーは分かっていた。


「それに……知った時、たくさん泣いてくれたじゃない…フランキー」
「おれ、それしかしてねェじゃん…」
「充分よ」


男として、それはどうかと思う。
苦難の際に、支えとして名前を上げてもらえない男なんて、男じゃない。
フランキーの意気消沈を察して、ロビンは
「変な話にしてごめんね」
と謝った。
ロビンが謝る必要なんてないのに。
これ以上、ロビンに気を使わせるのも嫌なので、フランキーは話を変えるフリをして、一番訊きたかったことに流れを持っていく。


「で……サウロとは会ったの?」
スタート時点より、はるかにジェラシーが透け出した声。
「ううん。直接は会ってないわ。いつかは会いたいね、って話にはなってるけれど、まだ…」
「そっか」
そいつァよかった。
一生、会わんでいい。
心配するな、おれがナチュラルに邪魔する。
フランキーは、ロビンの答えに心底ホッとした。
「転校していった後も、彼は両親の仕事の関係で海外をあちこち移動して……今は某国の海軍にいるらしいわ」


「軍人?」
「ええ。彼、身体が大きいから、軍服姿も立派だったけれど」
「今もデカいの?今のおれよりも?」
最前列が定位置だった10年前のチビ時代とは違い、190超えを果たしているフランキーだ。
今なら絶対負けない自信があったが、
「2メートルじゅう…」
の情報に
「もう巨人族でいいよ、そいつ。おれとは種族が違うんだ」
と勝負を投げた。


「てゆか何…?画像の交換とかしてんの?」
「ええ、私も送ったわ。今はこんな感じよ、って」
「……」
フランキーの携帯にロビン画像ファイルはあるけれど、ロビンから送られてきたものはない。
一瞬、負けを認めそうになるが、画像数なら絶対におれの勝ちだ、と気を取り直す。
「サウロ、私のことすごく綺麗になっ…」
「皆まで言うな!」
大きな手の平で制す。
「どうして?」
「……」


サウロめ!
どこまで波状攻撃をしかけてくりゃあ気が済むンだ!
おれの方がサウロより上、というのはついさっき、数十行前に豪語したセリフだ。
名実ともにそうなるためには。
こちらも、ロビンに褒め言葉の花束を。


「ろ、ロビン」
面と向かう。
でも、目を合わせられない。
「なあに。どうしたの?顔が赤いわよ?」
そんなことは改めて言わなくていい。
言われなくとも知っている。
さっきから、顔が熱くて堪らないのだから。
「ロビンは、…」
言葉が続かない。


別に、フランキーはロビンを褒めたことがないわけではない。
むしろ、自然体でさえいれば、今のフランキーは通常の会話の中で、無意識のうちにロビンを褒めている。
フランキーにとって、『ロビンが綺麗』であることなど、『四角形に角が4つある』ことと同義なのだから。
その当たり前を口にして、言った本人が気付かない向こうで、ロビンが頬を染めていたりすることもあるのだ。
ただこうやって、褒めてやろう、と意識すると言葉が全く出てこない。


どうしたもんか。
こんな時、あのグルマユだったら困りもしねェんだろうが…
そうだ!
この間、アイツがここに来た時、ロビンのことをどうやって褒めていたか思い出せ…!







ああ、マドモアゼル…
あなたは、あなた自身がこの世に存在すること、それ自体が既に罪深いと言うことを自覚すべきだ…
あなたの美しさの前では森羅万象のいかなるものも色褪せ、意味を失ってしまう…
この僕もただの愚かな詩人と成り果て、あなたを賛美するに値するフレーズを見つけることが出来ない…!
ああ!僕は絶望する!
『美しい』、そんな在り来たりで使い古された単語しか、あなたに贈れない自分に絶b(ry







い や 無 理 だ ! 


ン な モ ン 言 え る か ァ !


やっぱ、あのクソ野郎、おかしいぞ?!


頭から湯気を出しそうな顔で固まっているフランキーに、ロビンはやさしく微笑む。
そして
「ありがとう、フランキー」
と感謝の言葉を述べた。
「おれ、まだ何も言ってねェじゃん」
ロビンがうふふと笑う。
「私を褒めようとしてくれてたんでしょ?サウロに対抗意識を燃やして。昔からそうだったものね、フランキー」
何だ…おれの考えてることなんか、ロビンには全部お見通しかよ。
フランキーは、己の情けなさにガックリと項垂れる。


「……ロビンが綺麗なのなんか、おれ、初めて会ったときから知ってる」
「うん……ありがとう」


褒め言葉の花束、なんて大風呂敷を広げなければよかった…
とりあえずは小さな切り花一輪くらいは手渡せただろうか。
ロビンの手が伸びて、フランキーの髪を撫でてくれた。
ロビンに『いいこいいこ』されるのは好きだけど、辛い。
でも
「昔から、フランキーの髪の毛の感触、好きなの」
なんて言われたら、何も言えない。
「好きなだけ撫でていいよ」
そう言うしかない。







自分の考えはロビンに見通されている。
それは同時に恐ろしくも感じる。
自分の懸想など、ロビンには既にお見通しで、体よくあしらわれているのではないのか、と。
自分の丸見えの好意など、歯牙にもかける必要がないくらいに、弟なのか、と。
恐ろしい。
いつまで、子羊でいられるだろう?


子羊だと信じているものが狼だと気付いた時、羊飼いはどんな顔をするんだろう?



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自己紹介:
しばらくフラロビ妄想で生きていけそうです。
人型の何かです。

     
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