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フラロビのSS置き場。
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SSを書くにあたってどっちにしようかと悩んだのだけれども。


若ンキーと年上ロビンちゃんのCPだと、普通に遊んでいるフランキーに密かに妬いているロビンちゃんも美味しいけれど、ロビンちゃんがフランキーの筆おろし相手というのも絶対に美味しい。
綺麗なおねえさんのテクニックに辛抱堪らず、自爆と誤爆を繰り返し、パニックのうちに童貞喪失をするも、呑み込みの早い生徒は気がつくと教師よりも優位に立っているという。
若さに翻弄されてしまう年上の艶麗な女体もまた、美味しい。


++++++++++





16. 朝顔の花一時


「ロビン、まだいるよな!」


帰宅してきたフランキーが必死の形相でダイニングに駆けこんできた時、肝心の人の顔はそこになかった。
トムにアイスバーグにココロ、ペットのカエル・ヨコヅナ。
いつもの面々がいつもの顔で出迎える。
「ロビンはとっくに帰ったぞ」
しらっと、アイスバーグが言った。
「なんんんじゃああ、そりゃああ!」
ご近所に響き渡る、フランキーの絶叫。


「ンマー、うるさいぞ、フランキー」
「アイスバーグ!約束が違うじゃねェか!」
フランキーはアイスバーグに掴みかかる。
「約束も何も!」
と、アイスバーグは応戦する。
「下校時間通りに帰って来ねェ、てめェが悪ィんだろうが!こんな時間まで何してたんだ!」


「ご、午前中にテストがあったんだ、サボってた時限に…」
フランキーの語気が弱くなる。
「で、放課後に居残りでやらされてたんだな、テスト」
サボりがアダになって
「採点待ち、直しまでやらされた…」
「で、この帰宅時間か。もう夕飯時だ、ボケ。直しにそんなに時間がかかんのか?どんだけ間違ったんだ?何点だった、ホラ言ってみろ」
「い、言わねェ…」


英語32点。
優秀なアイスバーグに笑われるネタをそうそう簡単にやるわけにはいかない。







表でフランキーが大騒ぎをしている。
あまりの騒々しさにアイスバーグが通りに出てくると、数名のギャラリーに囲まれた中で義弟が地面に座り込んで、女を抱きしめて号泣していた。
近くに転がるフランキーの愛チャリ。
まさかフランキーのヤツ、女性を撥ねちまったんじゃあ、とアイスバーグは青くなる。


「ンマー、何やってやがんだ、フランキー」
通りに出る時は減速しろと、いつも言ってるだろうが!
アイスバーグはワナワナと叫ぶ。
フランキーにしがみ付かれている女性に
「大丈夫ですか?」
と恐る恐る覗き込んで訊ねると、
「大丈夫よ。あなたも大きくなったわね、アイスバーグ」
の返事がきた。


「ろ…ロビン…?」
予想外のロビンの出現に、思わずアイスバーグも中学生の顔に戻る。
「久し振り!今来たところか?つーか離れろ、フランキー!これじゃあゆっくり話もできやしねェ!」
ロビンに貼りついて鬱陶しいフランキーを、アイスバーグは力づくでベリベリと剥がした。
「やだー!もお離れたくねェー!」
えぐえぐと泣き癖がついたフランキーの顔とロビンと見交わして、
「てめェ…どんだけ泣いたんだよ…」
と、アイスバーグが呆れた声を出す。


フランキーがアイスバーグに言われて、その指が示す方に目を遣ると、ロビンの綺麗なラベンダーグレー色のワンピースの肩から胸元にかけての広い面積が、重たく色を変えていた。
自分の仕出かしたことに、さすがに涙が止まる。
「うわ、ごめん」
フランキーは慌ててゴシゴシと手で擦ってみたが、濡れた生地を手で擦ったところで乾くわけもない。
「いいのよ。こんなのどうってことないわ」
ロビンは気に留める様子もなく、にっこりと微笑んだ。


フランキーはようやく落ち着いて、間近でロビンを見た。
高校生のロビンは既に綺麗だったけれど、今、目の前にいるロビンは綺麗な上に、豊麗とか美麗とか艶麗といった単語が更に積み重なる。
薄らとメイクを施しているからか、記憶の中の彼女よりもずっと大人っぽく、洗練されている印象を受けた。
ついつい見惚れて、ぽかんと口が開く。


「ところでフランキー、こんな時間にどうしたの?学校は行かなくていいの?」
ロビンに弱いところを突かれる。
アイスバーグが悪そうにニヤリと笑った。
「ンマー、見てやってよ、この顔。今さっきでこんな顔になったんじゃないんだぜ?昨日の通夜でコイツ、ロビンに会えな…」
「よ、余計なこと言うんじゃねェ!」
フランキーはグローブみたいにデカい手でアイスバーグの口を押さえ、渾身の力でもってその首根っこを捕まえた。


「な、何でもねェのよ。ちっと眠れなくて。葬式なんかに出て気が高ぶっちまったみてェでさ」
「そう」
「で、ちょっと寝坊して。今出かけるところだったんだ」
何とか言い繕う。
ロビンが深く追求して来なさそうなので、フランキーはホッと胸を撫で下ろす。
のも束の間。
「そうなの。じゃあ、気をつけて行ってらっしゃい」
ようやく再会できたロビンが、あっさりと自分を送り出そうとした。


「え?いいよ、せっかくロビンと会えたんだ。学校はサボる」
フランキーには他の選択肢はない。
当然の如く、小脇に抱えたアイスバーグには
「ンマー、フランキー。何言ってんだ、行きやがれ」
と言われる。
が、フランキーもここは譲るわけにはいかない。


「黙れよ、バカバーグ!おれがどんだけロビンに会いたかったか、分かってるクセに!見ろ、この目!」
「てめェ、さっき寝不足言ってたろうが!」
「う…うるせー。おれはロビンと話したいことが山程あンの!だからサボる!」
「そんなの、学校を休む理由になるか!」
義兄弟は胸倉を掴み合う。
今にも殴り合いが勃発しそうな場面を、ロビンの声が制止させた。


「フランキー。気持ちはすごく嬉しいけれど、学校は行かなくては駄目よ?それが学生の本分なのだから」
「う…」
ほうら見ろ、と言わんばかりの顔をアイスバーグにされる。
「で、でも…こんな泣き腫らした顔、学校のダチに晒したくねェし…」
「それも学校を休む理由にはならないわね」
フランキーは、そうだった、と思い出す。
そういや、ロビンは決まり事には割合厳しい人だった。


「フランキー、今日は何時に帰って来るの?」
「4時…いや、4時前には帰ってくる」
「だったらその頃、もう一度ここに来るわ」
ロビンはフランキーの顔に手を伸ばし、赤い目蓋を指で撫でて、涙の名残を拭いてあげた。
「ホントに?」
「ええ」
ロビンは、にこり、と頷いた。


「私は今夜のフライトで帰るけれど…4時なら飛行機の時間に充分間に合うから。トムズであなたの帰りを待っているわ」
「……」
「だから学校、行ってらっしゃい」
「絶対ェ、待っててよ?約束だぞ?」
「ええ、約束。早引けして来ちゃダメよ、フランキー」
「う…」
「早く帰ってきてね」
「ンマー、図星だったな。早く行きやがれ、バカンキー」
「うっせー!バカバーグ!行きゃあいいんだろ?」


ロビンを交えての楽しい時間を今すぐ過ごすつもりが、学校へ行かされることになった。
盛り上がっていた気分が急速に萎むにつれ、さっきハンドルに嫌という程ぶつけた腿の付け根の痛みが鮮明になってくる。
それでも偏にロビンのためにと痛みを堪えて自転車を漕ぎ、泣き腫らした顔をからかわれつつも、授業をこなし、テストも頑張り…







そんな経緯で今に至り。
ロビンはいない。


「ともかくだ。今夜の飛行機で帰るっつってたろ!ロビンの話聞いてなかったのか?」
「聞いてたよ!」
「じゃあ、いるワケねェの、分かンだろ!ロビンはギリギリまでてめェを待ってたんだぞ?」
「おれだって早く帰りたかったンだよ!」
フランキーとアイスバーグは掴んだ胸倉を引き寄せ合い、ぶつけた額でゴリゴリと威嚇し合う。
「テストの点が悪くて居残りで帰って来れなかったんじゃあ、全部てめェのせいだろが!どうせ、英語か国語のテストだろ?そんなんで受験大丈夫なのか?」
「う…」
痛いところをド突かれる。


「大体が普段の学校での素行が悪ィから、こういう時に目ェつけられんだ」
「だったらやっぱり、学校サボっちまえばよかったじゃねェか!おめェの言うこと聞いて学校に行ったからロビンとロクに話も出来なかった!」
「学校に行くべきだ、と言ったのはおれだけじゃねェだろ?ロビンだって言った」
「う…うっせェな!全部おまえのせいだ、バカバーグ」
「自業自得だ」
最近では腕力でのケンカは比肩したものの、如何せん口ゲンカになると歩が悪いのは昔のままだ。


「だ、だったらロビンの連絡先、気ィ利かせて、訊いといてくれたんだろうな?」
「いや、訊いてねェ」
「何でだよッ!」
「近々また会えるわよ、なんて言ってたし」
ブチブチと、フランキーの頭の中で何かが切れる音がする。
「こンの役立たず!」
「何だと、この!やんのか?」
終に、本格的な取っ組み合いに発展した。


180cmを超える上背、しかも日々肉体労働で鍛えている分厚い筋肉のガテン系の男たち。
そんなふたりに本気でケンカをされると周囲の被害もまた大きい。
「アンタたち、そんなでっかい図体で掴み合いのケンカは止めとくれ!やるなら表ェ出な!」
厚意で晩ごはんを作ってくれているココロに怒鳴られた。
トムはいつも通り、「たっはっは!」と笑っている。
ヨコヅナは「げろお」と鳴いた。







ココロが帰宅した後、男3人は夕食の時間になった。
フランキーとアイスバーグは全身痣だらけで傷だらけで、絆創膏と湿布がところどころにベタベタ貼られていた。
ふたりはお互いの存在を無視し合い、黙々と食べた。


食事をしながら、トムが昨日の飲み会で仕入れてきた、
「どうやら隣の古書店が売りに出されるらしい」
の情報をふたりに伝えた。
「今日が葬式だってのにもうそんな話が出ているのか」
アイスバーグは顔を顰めて言った。


聞けば、クローバーの息子夫婦は別の土地に住居を構え、別の仕事に就いているためにあの古書店を継ぐ気はなく、倒れた父親を引き取った段階で手放すつもりでいたそうだ。
商店街の不動産屋に話は持ちかけていたものの、クローバーがそれに反対し、売却話は棚上げになっていたらしい。
存命のうちは売りに出す噂も立てられず、この度の葬式をもって情報が解禁された、とのこと。


「酋長に『おまえンちの隣だ、どうか買わんか』と言われた」
トムはたっはっはと笑う。
酋長はこの商店街にある(有)ヴァース不動産社長のアダ名だ。
「酋長、通夜で言っちまうのはフライングじゃん」
ロビンに帰られてしまったショックがまだ尾を引いているフランキーが仏頂面で言う。
「トムさん、買うの?」
アイスバーグはノリノリで身を乗り出した。


「トムさん、買おうよ」
トムの会社の規模を拡大し、尊敬する恩師の知名度を世に知らしめたいビジョンを持つアイスバーグは目を輝かせて、トムに購入を勧めた。
社内に経営や税法に通じている人間がいた方がいい、との考えから大学は経済学部に進んだのだ。
「角地の古書店と合わせたら結構な面積になる。今後のトムズワーカーズが更に展開していくためにも…」
「たっはっは、残念ながら金がない」
アイスバーグの熱弁は、トムの現実的なセリフで遮られる。
「そこは何とか、銀行に借りるとか…」
「今ある借金を返済してからだなあ」
「……」







その数日後、古書店の買い手が決まったようだ、とトムが言った。
アイスバーグは「決まるの早過ぎやしねェか?」と物凄く残念がっていたけれど、今のままのトムズワーカーズが好きなフランキーは特に何とも思わなかった。
ただ、あの古書店が誰かの手によって変えられてしまうことが物寂しかった。



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