忍者ブログ
フラロビのSS置き場。
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


具体的に少女漫画的展開をあげろ、と言われても思い浮かばないんだけど。


ロビンは自分の変化や感情の答えや名前を心理学の本から探し出そうとしそう。
最終的には『ちゃお』とか『なかよし』に辿り着いて、なるほど、と。
世間知らずのロビンはマンガに描いてあることは一般的だと思い込んで、周りが「え?」ってなるようなことを一生懸命フランキーに仕掛けるといい。


++++++++++






25. 思考メイズ -男子お悩み座談会-(前編)


「おう、どうしたフランキー、珍しい。今日はずいぶんシケたツラしてんなあ」
予備校の学食で同じテーブルの向かいに座っている金髪青年が遠慮なしに言う。
「うるっせェなァ、サンジ…こちとら色々あンのよ」
サンジと呼ばれた特徴的な眉毛を持つ青年は続け様に
「女か?」
と訊いて来る。


「てめェの頭ン中はマジでそればっかだな」
フランキーがワザと大袈裟に呆れて見せると
「ロビンと何かあったんだろ?」
と傍らの長っ鼻が言う。
「お前ってさァ、普段悩むようなタマじゃないじゃん。お前がそうやって塞ぎ込むの、ロビンが絡んだ時しか知らねェもん」
「ウソップ、てめェ…もっとうるせェ…」
昔からを知っている幼馴染には敵わない。


ウソップは同じ商店街の幼馴染、ロビンとも一緒に遊んだ仲だ。
幼稚園から高校までずっと同じ、今や予備校までも一緒の腐れ縁だ。
サンジはこの予備校で知り合い、意気投合してつるむようになった。
何となく馬が合って、3人でこうやって駄弁っていることが多いのだった。


「ロビンって…フランキーの家に居候している美人のおねえさんか」
女性に目がないサンジは流石に、女ネタへの食い付きが違う。
こういう時は物凄く厄介極まりない男なのだ。
だからフランキーは食事が忙しくて聞こえないフリをした。
「そうそう。フランキーが滅茶苦茶懐いてんの、今でも」
「黙れっつーのに。ウソップ」
フランキーが黙っていてもウソップが口を開いては何の意味もない。


「こんなデカくて可愛くないのに懐かれちゃァな。懐かれる方も嫌になるだろ。おれなら嫌だ」
「おれも嫌だ」
「こっちだっててめェらに懐く気なんざ、サラッサラねェよ!」
フランキーが目を三角にして文句を返すが、
「『美人のおねえさん』だから懐くのか、そうかそうか」
と、サンジはただただニヤニヤ笑う。
フランキーは俯き、箸を握った拳をぶるぶる震わせた。
「違う……違うけど違わねェ…」
「何でそんなに葛藤する必要があんだよ」


ウソップのツッコミももっともだが。
フランキーは『美人のおねえさん』だから懐いているのではない。
ロビンだから懐いているのだ、という信念がある。
たまたまロビンが『美人のおねえさん』なだけで、『美人のおねえさん』なら誰でもいいわけじゃない。
だが、そこのところの主張は説明が何とも面倒。


「でもさァ…その、ロビンちゃんが美人だって話は度々出るけどさ」
「馴れ馴れしくちゃん付けすンじゃねェよ」
フランキー目が尖る。
「あばたもえくぼ、ってヤツなんじゃねェの」
「ロビンにあばたなんざねェ。美人だから美人だっつってるだけで」
フランキーの悪い目付きが更に悪くなる。
「いや、ホントなんだよサンジ。『すげェ美人』ってヤツ」
フランキーとサンジの言い争いはどうでもいいウソップだったが、真実は真実なので、結果フランキーに賛同する。


フランキーとウソップに、今だ見えてない女性を美人だと訴えられ、サンジはワザとらしく溜息をついてみせた。
「てめェらに『すげェ美人』って言われてもなァ……だってナミさんに興味が湧かないクソ野郎どもだぜ?」
ナミはフランキーとウソップの幼馴染だ。
最近、サンジとナミが初顔合わせの機会がたまたまあって、それ以来サンジ曰く「恋の虜」なのだそうだ。
おかげで、なのか、喜んで、なのか、サンジはナミにいいように使われているらしい。


「ロビンの比較にナミ出されてもなァ…」
「おれらにしてみりゃァ…ナミを絶賛出来る、お前の方がどうかしてるって」
「なァ?確かに見てくれだきゃァいいのは認めるが。アレは小さい頃から鬼だったぞ?」
「アレは極道だぜ?女は中身が大事なんだぞ?分かるか?」
「で?そこで愛しのカヤちゃん登場か?」
すかさず、サンジがウソップをからかいに入る。


「カヤもなァ……何でこんなヘタレがいいのか、昔っから謎だ」
話題が変わるのは好都合、とフランキーもカヤの話に乗った。
カヤも同じく幼馴染、商店街一大富豪宅の深窓の令嬢だ。
「いいじゃねェか。カヤがいいって言うんだから別にヘタレでも!」
ウソップが力説する。


「あ、ヘタレは反論しねェんだ」
「おめーらがオカシイっつーの!あんな小せェガキの頃から、首の皮一枚繋がるかどうかの遊びばっかしやがって!おれだって一般庶民レベルで言えば勇敢な方なんだよ!」
「そおかあ?」
「いいか?耳の穴かっぽじってよく聞きやがれ!おれ様が超巨大コンドル・アルゲンタビスと戦った話をしてやろう!そう…あれはおれが7歳の時、親父と一緒に射撃の訓練に南米に渡った時の話だ…」


「カヤちゃんも可愛かったなァ…」
サンジはウソップの話をさらっと流した。
先日、ナミとともにカヤの紹介を受けたサンジがカヤを思い出し、鼻の穴を膨らませる。
「帰りしなに『ごきげんよう』って。本物のお嬢様、って感じが最高だよなァ」
「な?カヤと比べると差が分かるだろ?」
ウソップが我が事のように胸を張った。
「ナミなんて『じゃあね、アンタたち』だぜ?アイツはなァ…あんだけ差がついてるのにカヤと同じ制服着て歩いてる神経が分からん」
「アイツは人見て猫被るから」
小さい頃からナミに痛い目に合わされている二人は食傷気味に苦笑した。


「ナミさんは可愛い!可愛いは正義!てめェらクソ野郎の目が腐ってんだ!分かるか?可愛いってだけでレディーは正義なんだよ!」
サンジはガタリと椅子を蹴ると、大声で主張を叫んだ。
学食中の目が、フランキー達のテーブルに集まった。
「そんなことも分からねェクソ野郎どもは万死に値する!」
「そんなこと叫ぶな、馬鹿!」
ウソップがわたわたしながら、サンジを椅子に座らせた。


「おまえどうにかしろよ、その女性至上主義。一緒にいて迷惑なんだよ、変態仲間に見られるから」
「変態はフランキーだろ?すぐ脱ぎたがる。どンだけ見せてェんだ、てめェ」
「脱ぎてェけど、おれは脱ぐの我慢してっだろ?変態なのは認めるが」
「何なんだよ、その変態談義」
ウソップは「ついてけねェ」と肩をすくめたが、
「類友なんだからてめェも変態なんだ、諦めろ」
と言われ、途轍もない衝撃を受けた。


「と言うわけで、今度そのロビンちゃんとやらをおれに見せてみろ」
サンジがビシリ、とフランキーに指を突き付ける。
「おれのレディーを見定める目は正しいからな」
「嫌だ。絶対ェ会わせねェ」
フランキーは即答した。
「何で」
だよ、とサンジは言いかけて「ははーん」と含み笑いをする。


「本当は大したことねェんだろ」
「何が?」
「ロビンちゃん」
サンジがニヤリと笑う。
「すげェ美人だ何だと煽ったものの、この、美人を見る目の肥えたおれ様に見せると盛ったのがバレると…」
「てめェのお墨付きなんざ必要ねェくらいロビンは美人だ」
知らぬこととは言え、サンジにロビンを悪く言われてフランキーの機嫌が悪くなる。


「じゃァ何で」
「会わせたくねェのはな、会えばおまえが必ずロビンを口説くからだ」
これもまた即答。
「だから会わせねェ」
ロビンの絶世の美女っぷりを目の当たりにしたサンジの鼻っ柱の折れるところは見たいが、他の男に口説かれるロビンは見たくない。
「ああ、絶対口説くな」
ウソップも同意した。


「いいじゃねェか、口説いたって。口説かれるってこたァ、イコール『貴女はいい女です』って褒められるってことなんだ。褒められて嫌な気分になるヤツァいねェ!」
サンジはまたしても、立ち上がって叫ぶ。
椅子に飛び乗ってテーブルに片足を置き、ポーズをとって持論を展開するサンジに、再び学食中の目が向いた。
「いいか、クソ野郎ども!おれはレディーに幸せを運んでいるんだ!」
「何なんだよ、その自信。いつもどこから湧いてくるんだよ」
「だからもー!座れってのに!」
ツッコミ役を自負しているウソップの気苦労は絶えない。


「なァ、外行かね?」
サンジは席に着かず中腰のままで、仲間を誘った。
「ああ、ヤニ切れかよ」
ウソップがタバコを吸うジェスチャーをすると、サンジは「まァな」と返事をした。
「食い終わったし、構わねェよ」
三人はトレーを返却して、地上に出る階段を上る。
上りながら、どうでもいい会話を交わす。


「お前、コック志望のくせにヘビースモーカーって…食べ物がヤニ臭くなんだろ」
「食材に匂いがつくようなトロくせェ仕事はしねェよ」
「つーか、その前に未成年だろ。堂々と吸うな」
「フランキーは吸わねェの?」
「タバコは呑めるけど呑まねェ。アレやるとさァ…肺活量が目に見えて落ちンだよ。スイマーとしては致命的だからな」
「後コイツ、背が伸びなくなるって聞いて絶対やんない、ってのもあんだぜ?」
「おまー…まだデカくなるつもりか?」
「男のプライドってヤツだ」
「アイスバーグは抜いただろ?」
「アイツじゃねェ。他のヤツ」
「ウソップ…はやらねェな。見るからに。訊く迄もねェ」
「な、何だよ」
「どうせカヤが『タバコは身体に悪いから吸って欲しくない』とか言ってんだろ。アイツ、医者志望だもんな」
「……」
「図星か」







外に出ると、やはり解放感がある。
3人はそれぞれに伸びをしながら、建物裏の適当なスペースに腰を下ろした。
今日は雲の多い天気ながらそこそこ暖かく、然程風は強くなく、タバコ吸いとだらけた時間を過ごすにはまあまあといった陽気だ。
その割には、フランキーの表情が相変わらずに沈んでる。


「で?」
サンジが紫煙を吐き出しつつ、フランキーに話を促す。
が、フランキーには唐突過ぎて何のことやら分からない。
「で、って何?」
「で、そのロビンちゃんとケンカでもしたのか?」
「……」
「おめェらは分ッかりやすいなァ」
可笑しそうに金髪が揺れる。


「話してみろよ」
「…むぅー…」
フランキーは話すべきか話さぬべきか、と考える。
確かに気の置けない連中ではあるけれど、フランキーの目下の悩み事は他人にしたら珍妙以外の何物でもないだろう、という自覚がある。
フランキーが明らさまに悩んでいること自体が、サンジやウソップにしてみたら珍妙なのだが。


「言ってみろよ。気が楽になんぞ?口に出すだけでずい分違うもんだぜ?」
「おれらに気兼ねすんなよ。どんな話だって食いついてやるぜ」
「てめェら…」
友のやさしさにフランキーの目頭が熱くなる。
「…うっく、てべェら…」
「ああ、メンドクせェから泣くなよ」
「何言ってっか分かんなくなるから」
「泣いてねェ!こっち見んな!ハウ…」
フランキーは大きな手の平で友人の視界を遮った陰で、アロハの肩で目尻をグイと拭いた。


「じゃあ…話すが…」
フランキーは鼻をグスンと啜り上げて語り出した。
「時にサンジ…おまえ、姉ちゃんいたよな?」
「ああ、年の離れたのが二人ばかし」
サンジは当然の如く、それがどうした、という顔をする。
「おまえさァ…………姉ちゃんのハダカ見て、勃起したことある?」


馬鹿みたいな内容を、馬鹿みたいに澄んだ目で、馬鹿みたいに真面目な顔で言われる。
友人たちは一気にドン引きゲージがマックスに達したが、無理矢理悩み事を訊き出している手前、懸命にゲージを手動で引き戻した。


「ああ……」
「もう皆まで言うな」
とりあえずは、そう答えるので精一杯だった。



next
この記事にコメントする
Name
Title
Color
E-Mail
URL
Comment
Password   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
ブログ内検索
プロフィール
HN:
Kuu
性別:
女性
自己紹介:
しばらくフラロビ妄想で生きていけそうです。
人型の何かです。

     
PR
Template "simple02" by Emile*Emilie
忍者ブログ [PR]