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フラロビのSS置き場。
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空島で雷が落ちたロビンに駆け寄った直後のゾロの切れっぷりが凄かったからね。


世の中にはゾロビというCPもあって、こちらを押している人にとっては後から登場してきてロビンと夫婦みたいになってるフランキーの存在は鬱陶しいんだろうなあ、と思う。
ゾロビも一応勉強してきた身としては、ロビンちゃんが幸せならそれでいいな、というのが率直な感想なんだけど実際問題、アリだとしても発生確率のかなり低いCPだと思う。
ロビンもゾロも、色々無理をしそうなんだよね…。


++++++++++




36. Firecrackers


ロビン達が去ってからしばらく、フランキーはベンチに並んで座る少女の相手をしていた。
俗に言う、彼女、であり、フランキーにとっては初である『数か月続いている』彼女だった。
無節操が原因でのロビンとの喧嘩以来、一念発起したフランキーが当時付き合っていた彼女といつもだったら別れているタイミングで別れなかった結果、今に至っている。
彼女にしてみたら、交際相手の入れ替わりが激しいフランキーがこんなにも長く自分と付き合っていることが嬉しくて堪らない。
イコール、フランキーが自分を本気で好きでいてくれているバロメーターになるからだ。


けれど現実、フランキーとは極端な温度差があることを彼女は知らない。
フランキーにとっては、たまたま、付き合っていたのがこのコだっただけで、このコでなくても良かった感が否めない。
セフレを全部切った以上、セックスできるのは彼女だけ。
ロビンが「ひとりひとりを大事に」、と言うからそうしているだけで。


自分を好きでいてくれるのを嬉しく思う反面、想い合うバランスが取れていない現状、彼女の気持ちが非常に重い。
さして好きでもないのに身体だけが繋がるのもどうなんだろう、と昔だったらフィーリングで済ませていたようなこともじっくりと考えてしまう。
このコだから、抱きたい訳じゃない。
射精するだけならオナニーで充分なんじゃねェの?、なんてことをアイスを舐めながら考えた。
隣で彼女が話す内容よりも、頭上を行きかう鳩の模様が気になるようじゃ終わってる。


アイスを食べ終わったのでベンチを立つ。
「両親が留守なの。これからウチに来る?」
と、彼女に誘われたけれど、フランキーは用事があるからと断った。
ホームに入って来た電車に乗る彼女を「またな」と見送って、フランキーは大きく肩で息をついた。
あっさりと笑顔が消えた。
特に用事なんて、何一つなかったけど。
強いて言えば、トムに任されたロビンの家の設計図を描く、という用事があるくらい。


クローバーは古書店の建物を住居としても使っていたが、ロビンは蔵として使われていた離れを新たな住居とすることに決めた。
離れは古書店裏に庭を挟んで建てられている小さな家屋だ。
かつて子どもたちの成長とともに、必要に応じて増築されたものらしい。


リフォーム計画では、古書店の一階を全て店舗スペースに改築、その2階は店に出さない稀少本の保管庫を兼ねたロビン専用の図書室とし、後は古書店と離れを繋ぐ回廊を新築する。
フランキーとアイスバーグが任されたのは離れの設計、ロビンの居住空間の設計だ。
フランキーが担当した2階にはロビンの私室が含まれる。
ロビンが最大限寛げる部屋にするべく、フランキーは試行錯誤の真っ最中。
何を考えていても、最後にはロビンに辿りつく。
今は彼女と過ごすよりも、ロビンの待つ家に、帰りたかった。


「ロビンの一日が始まって、一日が終わる場所…」
さすがはフランキーね、とロビンに特上の笑顔で褒めてもらいたい。
フランキーは色々と物思いに耽りつつ、改札を抜ける。
すると、そこにロビンを見つけた。
思いがけないところでロビンを見つけて、フランキーはやたら嬉しくなる。
が、ロビンが向かい合う相手を見て、フランキーの表情が俄然、険しくなった。
「クザン…てめェ…」
フランキーは甚だガラの悪い舌打ちをした。







クザン、というのは去年の暮れ辺りから、何時の間にかひょっこり商店街に居付いた男だ。
けっこうないい年のようだが、氷屋でのんびりとアルバイト生活中、たまに自転車で町内をユラユラ走っているのを見かける。
相当なノッポでフランキーよりも高い。
それがまた、青年の気に障る。
往年の名優にそっくりで、どこか暖簾に腕押しな惚けた感が、商店街のおばちゃん連中に人気だったりする。


そんなクザンは何故か最近、ロビンの周りを良くウロチョロしていて、それがまた、フランキーの気に更に障る。
ロビンにクザンとの関係を訊ねると、リニューアルした古書店をカフェのように解放しようかと考えていて、客に出す氷にも拘りたくて、きっと氷屋さんの氷の方がクオリティが高いのかと思ってそれ以来の顔見知りで、みたいなことを言った。
フランキーは、ふうん、と生返事をしたが、どうしたってロビンとクザンが並んでいる姿は気に入らない。


誰かが「ふたりとも背が高いし、意外と美男美女でお似合いね」と言った。
ふたりが背が高くてバランスが(比較的)取れているのはフランキーも認める。
でもそれならクザンじゃなくて、自分だって釣り合っていると思う。
自分はクザンよりも、 若 干 、低いか知れないけれど、世の中的にはデカイのだから、すらっとしているロビンの隣にいても遜色はない筈なのだ。


それにヤツは無駄に背が高いせいで線が細くてひょろりとし過ぎてて、頂けない。
自分くらいに筋肉の厚みを服の上からも感じるくらいがいい。
ロビンが細いのだから、隣に立つ男まで細くては割り箸が並んでいるのと変わりない。
クザンの文句だったら幾らでも湧いて出るフランキーだった。


フランキーが最も声を大にして言いたいことは、クザンが『美男』だとは絶対に認められないことだ。
あれはただの胡散臭くて、いけ好かないヤツに過ぎない。
スーパーなおれの方がずうっとイイ男だ、とフランキーは思っているのに、誰もそれをもってロビンとお似合いなんて言ってくれない。
「綺麗なおねえさんと一緒でいいわね」、的なことならこれまでにしこたま言われたが。


敢えて、決してフランキーでは敵わない釣り合いをクザンの中に見つけるなら、年齢的なことだろう。
クザンが幾つなのかは知らない。
でも、ロビンよりずっと年上なのは確か、どう若く見繕っても30は超えている。
ああいう、大人な落ち着きは、若いフランキーにはまだ持ち合わせがない。


クザンの前だと何故か、ロビンの雰囲気が違う。
フランキーには見せたことがない、影のある大人の女の表情が見え隠れする。
それがフランキーをイライラさせる。
ロビンがやたら遠くに感じられて嫌だった。
何でかは分からないけれど、フランキーは焦燥感に煽られる。







「てめェ、ロビンに何か用か?」
ロビンの前にもう一枚、壁が現れた。
ゾロよりも頭一つ分は大きな身体、水色の後頭部。
「ふ、フランキー…」
「どうしたロビン。コイツに何か嫌なことされてんのか?」
両手をポケットに突っ込んだまま、空色の三白眼が氷屋のアルバイターに因縁をつける。


「何だ、フランキー、来たのか」
隣でいきなり名前を呼ばれてちょっとびっくりする。
見ればマリモ。
「おお、ゾロじゃねェか。気が付かんかった」
正直、ロビン周辺しか視界に入ってなかったフランキーだった。


「フランキー、何だコイツ、タダモンじゃねェだろ」
「ああ」
ゾロがダダ漏れさせる殺気に、フランキーは自分がクザンに抱いた第一印象は間違っていなかったと実感した。
どう見ても氷屋でバイトしている姿は仮の姿、実態は知らねども勘が『マジでヤバい』と告げる。
喧嘩慣れしているフランキーも、剣術においては一端のゾロも、目の前の男に正面からぶつかって勝てる気が少しもしなかった。
とはいえ、だからと言って引き下がる気はまるでない。


「いッつもロビンに纏わりつきやがるんだ。気に入らねェ」
「おれはコイツのツラが気に食わねェ」
「おいおい…おれァ別に、ケンカするつもりなんかねェよ」
その喧嘩腰、どうにかしてくれんかなァ、とクザンはバリバリと頭を掻く。
片や抜き身の鋭い刀、片や導火線に火がついた爆弾。
「爆竹みてェな連中だな」
クザンはニヤリと笑った。


「いい魔除け、飼ってるなァ…ニコ・ロビン」
クザンは青年たちに守られる女に向けて声をかけた。
「男に言うこときかせるのァ…今も得意、ってわけ?」
男の物言いに、ロビンの顔が厳しく強張った。
「今は年下がいいのか?こっち来てから宗旨替えでもした?」
クザンの、ロビンを愚弄する言動に、フランキーとゾロは額に青筋を立てる。


「何だ、その言い草ァ…」
「やるか、てめェ…」
ふたりが間合いを詰める。
一触即発の機に、スッと、ロビンがフランキー達の前に出た。
「ろ、ロビン…」
すると、フランキーの毒気が抜けるくらいににっこりと、彼女はクザンに微笑んだ。


「氷を買う時はこちらから連絡するわ。あなたが来ると余計な喧嘩が起りそうだから、彼らがいる時には私に話しかけないでくれるとありがたいわね」
「ああ、そう?じゃあ、個人的に飲みに誘った方がいい?」
「往来で変な挑発をされるくらいなら、そっちの方がマシね。さ、ふたりとも帰りましょう?」
ロビンはゾロのシャツを握ったまま歩き出す。
フランキーはクザンに一瞥すると、その後を追った。
クザンはポリポリと頬を掻くと、フランキー達とは反対方向に、のんびりと自転車を漕ぎ出した。


「ロビン」
フランキーは速足でロビンに並ぶ。
「ちょっと…本気であんなヤツと飲みに行くのかよ?」
「行かないわよ」
ロビンは、自分の答えに「よかったー」と胸を撫で下ろしているフランキーに苦笑する。
「ロビン、ホントにありゃ何だ?無礼なコト言い過ぎだろ?」
ゾロが後方を気にしながら訊ねると、
「おっかけよ。私のファンみたい。私がつれないからああやって当たるのよ」
とロビンは静かに答えた。


ゾロはロビンの横顔を見る。
今のロビンには変わったところはどこにも見当たらない。
クザンに男性問題を示唆するような容赦ないことを言われた時、ロビンの感情が起伏したのをゾロは感じた。
その起伏は動揺に起因していた。
どうしてあの場面でロビンは怒るのではなく動揺したのか、というメンタル面における追及という点については、すっかりゾロの興味の対象外だった。



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