忍者ブログ
フラロビのSS置き場。
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


洗濯物の干し方とかそれはもう見事なくらいに皺がないの。


SSで、ロビンをスーパー主婦みたいに書いているけれど、原作上のロビンもやれば大抵の家事を難なくこなせる人なのかもしれない。
育ちが育ちだから、シンデレラ的雑用仕事は叔母の家にいた頃から当然のようにやらされていたし、出来が悪いと怒られたから必死で仕事の質は上げただろうし、8歳の女の子の出来る仕事なんてそんな特殊なものであるわけないし。
でも料理にしても経験あるのは下ごしらえくらいで料理自体は殆どやらせてもらえない、裁縫にしても繕い物ばかりで綺麗な刺繍や編み物は経験ない、みたいな悲しい中途半端さはあると思う。


++++++++++





52. Intermission 2 Pumps Race Song


庭先の藤袴が桜餅のような甘い香りを漂わせる、間もなく立冬を迎える頃。
「ロビン、明日、ちょっとおれに付き合ってデートしない?」
と、ロビンはフランキーから唐突なお誘いを受けた。
「え?」
彼女の注ぐコーラは目測を誤り、床にダバダバと茶色い水溜りを作った。
「おいおいロビン、コーラが勿体ねェぞ?」
「あ」
慌てて、ロビンは赤い顔で床を拭く。


ロビンは改めてコーラを用意して、フランキーの隣に腰かけると
「デート、とはどういうことでしょうか」
と神妙な顔付きで訊ねた。
「いや何、デートっつっても、大したことじゃねェんだ」
かえって、ロビンには申し訳ねェような…と、フランキーは歯切れが悪い。
「何?お願い事なの?」
それはそうよね。
ロビンは少しガッカリした気持ちを抱えて苦笑した。


「まァ、お願い事と言えばそうだな。本当は彼女と行く予定だったんだけど、おれら、こないだ別れちまったもんで」
「そうなの?」
ロビンはついつい、身を乗り出した。
図らずも声に喜色が混じってしまい、こほん、と小さく咳払いをする。
「彼女の代わり、っていうと聞こえが悪ィんだけどさ、一緒に行って欲しいトコがあって。ロビン、来てくンねェかな?」
フランキーが顔の前で両手を合わせ、頭を下げた。


「そんな、頭下げないで?フランキーの頼みだったら聞いてあげるから」
「ホント?」
フランキーの顔がパッと明るくなった。
キラキラ光る空色の瞳に、ロビンの頬が思わず染まる。
「でも、私でいいの?その…彼女の代わり、でしょう?」
彼女≒私、
という図式に、ロビンは舞い上がってしまいそうな気持ちを冷静な顔の下で諌め続けた。


「いいのいいの。ロビンだったら文句なし。完璧」
「私はフランキーがいいのなら」
「よっしゃ」
フランキーがパチンと指を鳴らした。
続いて、フランキーが待ち合わせの時刻と場所を言った。
ロビンは一言一句しっかりと記憶し、それどころかメモにまで取った。


「で…私、どんな格好をしていけばいいのかしら?」
「格好?」
代わり、であってもデートはデートなわけで。
それもフランキーとの初デートなわけで。
しかもロビンは、デート、なるものをまともにしたことがない。
ロビンは、勉学においては他の追随を許さない才女だったが、一般人が普通に経験しているようなことにまるで通じてない世間知らずだった。


「ほら…行く場所によって、着る洋服も…」
モジモジと指が動く。
「そんなの気にしなくてもいいってば。大したとこじゃねェし。おれがこんなカッコで普段行ってる場所だから。ロビンも普段着でいいよ。今日みたいな服で充分」
フランキーはロビンの乙女心に頓着なく言う。
「今日、みたいな…」


本日のロビンの服装は、モノトーンのワンピース。
膝丈で襟刳りも大きく開いている一品だが
「地味じゃない?」
霜月に突入しても、派手な半袖アロハで闊歩しているような人と並んで歩くには?
ロビンは腰を屈め、自分の身体を見下ろした。
「ううん。ちっとも地味じゃねェ」
フランキーは、前傾姿勢になったロビンの襟元からたわわに覗く、眩しい白い谷間を注視しながら屹然と答えた。







一夜明け、デート当日、間もなく待ち合わせ時間。
フランキーに言われた駅の改札を出たところで、ロビンはきっちり10分前から待っていた。
何度も手首に視線を落としてそわそわと待つ。
昨夜からずっと服選びに悩み続け、最終的にはクローゼットの中身を全部引っ張り出してしまったロビンだった。
帰ってからの片付けが思いやられるけれど、それよりも何よりも、今のこの服装がフランキーにOKをもらえるかどうか、それだけが気掛かりだった。


昨日は仕事中も気が気でなく、さくっと仕事を終えてからずっと、ロビンは『デート服』で検索をかけまくった。
そして、その研究の結果、端的に言えば、「身体のラインを出した」「女性らしい」「ミニスカート、ワンピース」が男性的に好ましいお勧めらしい。
それならば確かにフランキーの言う通り、ロビンのワードローブでも何とかなりそうだった。
問題は色味。
ベッドの上や床の上に並べられたラインナップは、どれもこれもモノトーン。
何となく、考えなしに好みで買い物をし続けた果てがコレで、今更、ニュアンストーンやパステルカラーと言われても困ってしまう。


検索して出てくる画像の女の子たちは皆、ふんわりした色、ふんわりした素材に身を包んでいる。
自分の服たちを俯瞰で眺めていると、フランキーの隣に立つのは自分なんかよりも、こういったファッション、こういったキャラクターの、年の近い女の子の方がいいのでは?、と思えてきて。
明日の朝一番で買い物に走ろうかとも思ったけれど、付け焼刃で何とかしてもかえって変なことになりそうだし、見るからに新品の服で妙なヤル気をアピールしてしまっても嫌だし。
結局は、この場にあるもので何とかしなくてはならないわけで。
ロビンは受験勉強なんかよりも遥かに、悩み、頭を使い、試行錯誤した。


そして、ロビンは苦心惨憺の末にグレーのニットワンピースをチョイスした。
年の割にいささか丈が短過ぎる嫌いはあるけれど、細身だし、「身体のラインを出した」「女性らしい」「ミニスカート、ワンピース」のどれもクリアしているから大丈夫なはず。
それに黒のブーティとシルバーのダウンを合わせてきたものの、「もっと甘めにした方がよかったかも、ハード過ぎたかも」と、ロビンは既に後悔を始めていた。


フェイクファーの小物を取り入れるとよい、みたいなことをどこかで見かけて、ダウンのフードについているファーがあるからいいわよね、って流したけれど、もう少しちゃんと考えれば良かったかもしれない。
だってコレ、フェイクじゃないし、本物だし。
チープ感を出した方が大学生は気楽なのかしら?
でも私、服の数はあまりないけれど、『買うならばいい物を』のポリシーだったから、適当なのがないし。


腕時計に目をやる。
待ち合わせ時間ちょうど。
行き交う人々が老若男女を問わず、ロビンに視線を彷徨わせ、通り過ぎていく。
奇異の目で見られているように感じ、ロビンはハンドバッグを胸に抱え、身体を竦めた。
フランキーと同年代くらいの男性達もまた、ロビンに見られていることに気がつくと、まごつきながら去ってしまう。


自分の放つ『高嶺の花』オーラに気付かないロビンは、
今日の私の格好は、若い男性向けではなかったのかもしれない。
と次第に、落ち込み始めた。
せっかくの、フランキーとの初デートなのに。
どうせなら、お誘いとデートの日の間にもっと時間的余裕が欲しかった。


こんな風に人に見られるなんて。
きっと、自分では気が付けない違和感、間違いがあるに違いない。
もしかしたら、無理して若作りしてるように見えるのかも…そもそも何か私は、デートというものを勘違いをしているのかも…
ああ、どうしよう、でも、ここまで来てしまったし、もう待ち合わせ時間だし。


「今度、ナミに買い物付き合ってもらおう…」
気が重たくなってしまったロビンは、ふう、と大きな溜息をついた。




next
この記事にコメントする
Name
Title
Color
E-Mail
URL
Comment
Password   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
ブログ内検索
プロフィール
HN:
Kuu
性別:
女性
自己紹介:
しばらくフラロビ妄想で生きていけそうです。
人型の何かです。

     
PR
Template "simple02" by Emile*Emilie
忍者ブログ [PR]