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フラロビのSS置き場。
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坊主よりもクワガタよりもおさげよりも、リーゼントがいい、絶対に。


サニー号襲撃の際の睡眠ガスでも最後に目覚め、シーザーに捕まった檻の中でも最後に目覚め、眠りが深いタイプなんだろうか?
薬で眠らされても身体が大きいし、ロボだし、一番効かなさそうに見えて効果覿面で、というのも肺活量は人並み以上なのに反し、生身部分が想像以上に少なくて、比率として薬効が有り過ぎたのかもしれない。
でもよくいるよね、健康過ぎて普段薬飲まないヤツで、異様に薬が効くタイプ。


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57. 誰がコマドリ殺したの?
(3) コマドリの葬式 -1-


ロビンは留学時代の夢を見ていた。
あんな雑誌記事を読んだからに違いない。
あの時代のことは思い出したくもなかった。
ロビンは過去そのものを忘却してしまいたかった。
ここの商店街で古書店を開く迄、いい時代なんて何一つなかった。
あの夏休み、水色の髪の少年と過ごした、あの一ヶ月間を除いては。


ああ、
あの時代の夢など見たくない
クロコダイルのことなんか、夢に見たくない
あの頃の自分、あの頃の生活、
あの事件のこと、
忘れたいことを思い出すための夢なら見たくない


ああ、
起きなくては…
戻らなくては…
現実に、今の私がいる現実に、フランキーのいる、現実、に…


ロビンの決死の反抗も虚しく、
ロビンは夢の濁流に呑み込まれた。







ロビンがサー・クロコダイルと初めて、直接顔を合わせたのは、海外留学してから半年程経った頃だった。
ロビンは転校してきてすぐにその才覚を表し、彼女の頭脳明晰さは過去に類を見ず、優秀な生徒ばかりの学校においても他の追随を許さなかった。
そんなロビンの評判を聞きつけて、クロコダイルは自らロビンの元に赴いてきたのだった。


ある日、授業中に校長室にいきなり呼ばれて何事かと思えば、ロビンに海外留学をさせてくれた機関の、その大元締めが直々に、彼女に会いに来ているという。
いつも偉そうな校長が自分の部屋の前で、恐縮しきりの態で小さくなっていて、ロビンに「無礼のないように」を繰り返した。
校長室の扉が開くと狭い部屋の古い応接セットに、近い未来、ロビンの運命を大きく捻じ曲げることになる立役者が、まるで黒い孔雀のように腰かけていた。
当時、17歳になるかならないかのロビンは緊張しながらも、男の前に凛々しく立っていた。


クロコダイルは黙っていても横柄さの滲み出る男だった。
座っているだけで、対する者をそのカリスマ性と威圧感で捩じ伏せることが出来るような、そんな男だった。
葉巻を燻らせ、見るからに高級そうな毛皮を羽織り、身につけている宝石も一粒一粒が大きい。
ロビンは彼に、リッチでダンディな印象を持ったが、ロビンを品定めするように不躾に向けてくる瞳は上品とは言えず、まるで爬虫類のように冷たくて無感情だと思った。


紋切り型の挨拶を交わした後、単刀直入に語られたクロコダイルの用件は、ロビンの考古学を学びたいという希望を完全に踏まえたものだった。
ゆくゆく考古学者としてクロコダイルの力になると約束するのであれば、この先、大学も大学院も、彼女の勉学にかかる費用の全額を援助し、彼女が考古学に携われる最高の環境での仕事の斡旋まで全てバックアップする、と申し出てきたのだ。


ロビンにしてみたら夢のような話だった。
お金の心配をせずに勉学に打ち込むことが出来、両親と同じ研究に携われる保証が生まれた。
ロビンは、クロコダイルが企業を上げて、歴史探査のプロジェクトを数多く行っていることを知っていたし、彼を手助けすることで自分も考古学者として成功出来るなら、こんなにいい話はない。
自分独りの力で何とかなる甘い世界ではないことは分かっていた。
だから、クロコダイルの人脈もまた、彼女の夢の大きな足掛かりになることは火を見るよりも明らかだった。
ロビンはクロコダイルの申し出を快諾した。


間もなく、ロビンは学校の寮からクロコダイルの用意したマンションへと引っ越すように言われた。
そのマンションは家具も身の回りの物も、全て揃っていたが、やたらとゴージャスで、清貧暮らしに慣れ切っていたロビンには多少居心地が悪かった。
しかし、家事の一切は時間でやってくるメイドがしてくれたので、ロビンはいよいよもって勉強だけをすれば良かった。
気の合わないルームメイトの顔色を窺う必要もなくなった。


前後してクロコダイルから、大学と話をつけたので高校に通いながら大学の単位を取れるだけ取れと言われた。
ロビンはひたすらに勉強した。
出かけるのは学校のみ、家にいるときは常に机に向かっていた。
それでもロビンは全く苦にならなかった。
やったらやっただけ、成果として現れる。
夢に近づいていく。


時折、夜遅くにクロコダイルが、ロビンのマンションにやってくることがあった。
どうして彼はここに来るのだろうと、ロビンは不思議に思ったが、このマンションはクロコダイルの持ち物で、自分は住まわせてもらっている居候なのだから別に構わないのか、と気にもしなかった。
それに自分がきちんと勉強をしているのか確認しに来ているのかもしれない、と考えた。
私は彼の投資物件なのだから、私には彼の期待に応える義務がある。
クロコダイルの来訪が知らされると、ロビンは挨拶に行き、「勉強がありますから」といつもすぐに自室に引っ込んだ。


その時は、自分の行動がおかしいとも思わなかった。
後から、その滑稽さに自分で気がついた。
クロコダイルにも笑われた。
クロコダイルはパトロンで、校長室で彼の申し出を受け、マンションを宛がわれた時から、ロビンは愛人だったのだ。


確かに『投資物件』ではあったけれど、クロコダイルはとんでもない財力の持ち主で小娘ひとりの学費や生活費の面倒をみるくらいどうということもない。
愛人だってロビンひとりじゃない。
何人もの愛人に裕福な生活を与えて囲っている、そういう男だった。
なのに当時のロビンはそんなことが全く分からないくらいに子どもで、勉強の虫だった。
パトロンが自分を抱きに来たというのに、「勉強がありますから」と部屋に引っ込む愛人は新鮮だったと、後にクロコダイルはベッドでロビンを組み伏せながら言った。







ロビンがクロコダイルと『正しい』愛人関係になったのは、20歳になったばかりで大学の単位を全て取り切った時だった。
超一流のホテルで卒業を祝ってもらった夜、その瀟洒な一室で女にされた。
男を迎え入れた初めての情事は、痛さに取り乱したことだけを覚えている。
自分の選んだことが正しかったのか、誤りだったのか、分からないまま抱かれて。
クロコダイルに抱かれながらずっと、フランキーのこと考えていた。
フランキーがもし、今も傍にいてくれたらと、ずっと考えていた。
でも、クロコダイルの女になる道しか、ロビンの前にはなかった。
何時の間にか、選択できる道がなかった。


考古学を続けていくためにはクロダイルの援助が必要で、クロコダイルの求めに応じれば、考古学を学び続けることが出来る。
クロコダイルは約束通り、大学にかかる学費を全額出してくれて、大学院でも学ばせてくれるという。
そのまま研究室に残って研究を続けることも可能だと、彼は言った。
ビジネスにおいても、プライベートにおいても、彼の命を聞いていれば、彼女の考古学者としての夢は安泰だったのだ。



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