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フラロビのSS置き場。
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年齢差が激しいからなぁ、このCP。


ルフィに命を救われていなければロビンはフランキーに出会うこともなかったわけで、そういった意味でも大恩人、フランキーにとっても、嫁と出会わせてくれた恩人と言える。
いい子だよね、ルフィ…私はルハン派だけど、ここのCPは永遠のプラトニックでも構わないなあ。
ハンコックはロビン以上に、男との生々しい関係に重きを置いてないだろうから、ルフィが求めてこないうちはずっと片想いを楽しんでそうな気がする。


++++++++++






68. 誰がコマドリ殺したの?
(14) 麦わらの一味


「なァにしてくれてンだ、てめェ…」
「それはこっちの台詞だ!」
スパンダムが頭を持ち上げるとスポ-ツバッグがゴトリと落ちた。
床板に鼻血がポタポタと血の池を作る。
鼻骨が折れなかったのが奇跡なくらいだ。


「生きてンのか。ずい分硬ェな」
「ふざけんな!思ックソ、人様の頭を殴りやが…ヒッ!」
スパンダムが文句をぶちまけながら顔を上げると、そこには怒髪天の大男が仁王立ちしていた。
「人の振り下ろしたバッグの下に頭を置いた、てめェが悪ィんだろ?」
フランキーは取っ手をスパンダムの顔に投げつけると、ボキボキと指を鳴らす。
「ロビンに傷つけやがって…覚悟出来てンだろおなあ…」


スパンダムは声にならない悲鳴を上げた。
腰の抜けた男は、瀕死のゴキブリのように床を掻いて、表に逃げようとする。
「フランキー、手を出したら駄目よ!」
ロビンがフランキーの皮ジャンを掴み、制した。
「何で止めんだよ?」
「スパンダムはこれでもキャリアの刑事なの。権力だけは持っているのよ」


今一度殴られた、ただそれだけでフランキーを傷害罪で逮捕請求しかねない。
ロビンは血の気が引いた。
スパンダムはしつこいだけが取り柄の嫌な男だ。
フランキーが目をつけられてしまったら、と思うとロビンは真っ直ぐに立っていられない。
案の定、逮捕してやるぞ!、と口汚く喚いている。
ロビンの額がフランキーの背中に付けられた。


「そんなヤツが何してんだ、こんなとこで」
フランキーはロビンの異変を感じ、この男が通りすがりの因縁付け野郎ではなく、ロビンの過去との因縁持ちだとピンと来た。
「向こうで……私を逮捕した刑事なの」
「はああ?」
更にフランキーの怒りに油が注がれる。


「てーめェかァ…ロビンに地獄見せてくれやがった、鬼畜はァ…」
「フランキー!」
ロビンの制止を振り解き、フランキーは大股で足を踏み出した。
「向こうで考古学者でいられなくした挙句、こっちの生活まで脅かしに来やがったのか?あァ?」
コイツはロビンにロクなことをしねェ、息の根止めとくか?
手加減をする気が全くない、青鬼が攻めてくる。


スパンダムは後退りしながら逮捕を仄めかすが、フランキーは
「上等だ、コラ」
と一蹴する。
「ひいい」とか何とか、薄見っとも無い声を上げたスパンダムが尻モチをついたまま通りに飛び出した。
と、その退路が突如、壁に塞がれる。
鼻血を垂らした間抜けヅラが見上げると、そこには見事な太鼓腹。


「トムさん…」
思いも寄らないトムの登場に、フランキーの激昂が少し薄れた。
「ロビンを苛めてる野郎ってのは、てめェかァ…」
普段温厚なトムが初めて聞かせた怒りに満ちた声。
トムの巨躯の隣には、チョッパーを腕に抱えたアイスバーグが同じく立ち控えていた。


「トムさん…アイスバーグ…」
「ンマー…チョッパーが工場まで走って知らせてくれてな。店でロビンが苛められてる、って」
チョッパーはアイスバーグの腕からぴょいと飛び降りると、ロビンに駆け寄り、その胸元にしがみついた。
「だいじょうぶか、ロビン!みかた つれてきたぞ、おれ」
「そっか。でかした、チョッパー」
ロビンが「ありがとう」とチョッパーをぎゅっと抱きしめた。
フランキー的にはかなり羨ましい行為だが、今回は不問にする。


「で?ロビンに何のようだ?」
「ンマー…つか、コイツ何なんだ?」
「向こうでロビンを逮捕した刑事だとよ」
ざわり、とギャラリーの空気が変わった。
ロビンはフランキーの後ろでハラハラした。
自分がかける迷惑の範囲が、静かに広がっていく。


「てめェ、国家の犬っても走り回る国が違うだろうが。越権もいいとこじゃねェか」
アイスバーグが手にした大鋸を、スパンダムの膝元についた。
思わず飛び退いた眼前には、トムの手にした大槌。
蒼褪めた顔に鼻血交じりの鼻水が垂れた。


正義を行使している筈の自分が何でこんな目に合うんだと、忌々しく見上げたロビンの前にはフランキーが立ち、盾になる。
「薄汚ねェ目でロビンを見ンじゃねーよ」
と凄まれて、「ひゃっ」とか「つはッ」とか、変な声を上げた。
いつの間にやら、ウソップ、ゾロ、ナミ、サンジも、ロビンの前に立っている。
そして何故か、フランキーの更に前に立つルフィ。







「何だ、どうした?」
麦わら帽子を首にかけた少年が腕を組み、大声で訊ねた。
「おう、船長…この野郎がよ、うちのクルーに難癖つけてきやがったんだ」
「ロビンが悪魔だとさ」
ルフィの問いに、フランキーとサンジが答えた。
全世界のレディのナイトであるサンジは、ロビンを殴ったスパンダムに対し万死に値すると判断したらしく、フランキーとはまたちょっと違った意味で怒り心頭していた。


「何ィ?」
ルフィの目付きが険しくなった。
小学生が腕を振り回しただけで、悲鳴を上げるスパンダム。
「おれの仲間を悪魔とか、言ってくれるじゃねェか」
ルフィがゴキゴキと小さな拳の指を鳴らした。


「アニキ、何してんですか?」
そこへ、フランキーをアニキと呼ぶ、フランキーよりも年嵩に見える男が現れた。
後ろには数人の仲間を引き連れている。
「おう、ザンバイ。ちょっとな」
ザンバイを含むこの連中は巷で『フランキー一家』と呼ばれる、元はここら一帯でクダを巻いていたチンピラだ。
フランキーに伸されてまとめ上げられた、今やフランキーの子分共だ。


フランキーが顎をしゃくるとザンバイは意図を察し、他の子分達に指示を出す。
フランキー一家はスパンダムの周りに円状の人垣を組み、その逃げ道を完全封鎖した。
誰も彼もが疑問を抱かずにロビンの味方をしている現状に納得のいかないスパンダムは声を張り上げる。
「おめェら、何にも知らねえのかよ?そこの女はとんでもねえ悪魔なんだぞ?この記事読んでみろよ?」
スパンダムは、記事を開いた雑誌を道路に放り投げた。
晒されるロビンの醜聞に形勢逆転をみたのか、スパンダムは小物臭漂う笑みを浮かべた。


「その雑誌は読んだ。ここにそれを知らねェヤツはおらん。それがどうした?」
トムの冷たい声が真後ろで響く。
ぐしゃり、と雑誌がルフィに踏み潰された。
「こんなん漢字ばっかで読みたくねェ!ふざけんな!」
「お前が…お前らがふざけんな!」
徐々に厚くなる人垣、その全員がスパンダムに冷たい視線を向けている。
そしてギャラリーの中には、ダダンの肉切り包丁しかり、その手にちょっと物騒なものを持っている者もいた。


と、人垣の向こうに、スパンダムの知っている顔が通り過ぎた。
人だかりについ野次馬根性を出してしまった、氷配達中のクザン。
「おおい!助けてくれ!おれとアンタの仲だろう?」
スパンダムがクザンに向けて叫び、衆人の目が一斉にクザンを見た。
クザンの目元がほんの一瞬、「余計なことを」と歪んだのにフランキーは気がついた。
確かにロビンの事件の担当検事と刑事、知り合いであっても不思議ではない。


でもこのふたりの間には温度差があるようで。
クザンは
「人違いだろ。アンタなんか知らねェなァ」
といつもの調子で自転車を漕いで去って行った。
救いを求めて差し伸べた、スパンダムの手がパタリと地に落ちた。


「よお、タイマンはろうぜ?」
スパンダムにフランキーが提案した。
「ええと、スパンダ…何とか。てめェが勝ったら、傷害罪でおれをしょっ引いていいぜ」
思いッ切しブン殴ったからな、と自分を親指で指す。
ロビンが何かを言いかけたが、フランキーはそれを手で制した。


「ロビンにだって好きなだけ尋問すりゃァいい。おれ達ァ何にも言わねェよ。その代わり、てめェが負けたら、二度とロビンの前にツラ出すな。雑誌にリークとか、汚ェ真似もすンな」
スパンダムはすぐに返事が出来ない。
提案している男は見るからにタダ者ではないマッチョで、いかにも喧嘩慣れしているツラをしている。
絶対に、勝てる見込みはない。


しかし。
フランキーの手がルフィの肩をポンと叩く。
「てめェの相手はウチの船長だ。小学5年生」
対戦相手が小学生と来た。
勝てる見込みがメキメキとスパンダムの中で上がる。
「よ、よーし。やったろうじゃねえか」
一気に偉そうな態度がマックスになった。


「小学生なら大事にならねェって判断か。ま、小学生相手に刑事責任は問えないからなあ」
スパンダムはほくそ笑む。
ケンカが強いから出て来たのだろうが、所詮は小学生。
舐められたものだが、大人の自分に勝算はある。
「勝負がどうあれ恨みっこなしだ…タイマンだからな…小学生を相手に差し出したのはてめェだからなァ…」


「何だ、ルフィ、ケンカか?」
「おれも混ぜろ!やらせろ!」
ルフィの従兄、エースとサボが割り込んで来た。
何てガキどもだ、とスパンダムは思った。
もっとも、大人からして凶器を持ってタイマン観戦をしているのだから、この商店街はまともじゃあない。


「駄目だ。この勝負はタイマンだからな」
ゾロの言葉に
「ええー。つまんねーの」
と腐っていたふたりは、サンジにクッキーの詰まった瓶を渡されると、大人しくなった。
その場でボリボリと齧りながら、弟分のタイマンを観戦する。


「いいか、ルフィ。まずアイツの一発、ワザと喰らえ」
フランキーがルフィの耳元で言う。
「ええ、ワザと?何で?」
そんなんやだ、とルフィが口を尖らす。
「いいんだ。そうすっとな、『正当防衛』って権利が手に入るんだ」


「せ、セイトボエ?」
首を捻るルフィに
「相手をボコリ返しても怒られねェ、不思議なワザだ」
とウソップが噛み砕いて説明した。
「よーし、分かった!」
「アンタのクルーが馬鹿にされてんのよ?けちょんけちょんにのしなさい」
いつもはケンカすると五月蠅いナミがエールを送る。
「任せとけ!」


戦いのゴングが鳴って。
勝敗は。
ルフィが正当防衛の権利を得た2秒後には決まっていた。



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